諂諛

音楽好きによる音楽好きの為の雑記。

しりとり名曲紹介 No.13 [SWAN SONG / ART-SCHOOL]

久々の更新。三月は色々忙しかったし、いっぱいライブに行きました。

 

2/22のGRAPEVINEと中村佳穂さんのツーマンから数えて、先日3/23のSANUKI ROCK COLOSSEUMまでの約1か月でだいたい15組ぐらいのライブを見られました。

 

音楽的にはかなり充実した1か月になったのですが、その分飛んで行った出費の事を考えるとお尻がひゅっとなりますよね。春なのに。

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

SWAN SONG / ART-SCHOOL

 

 

2000年結成のオルタナ系ロックバンド。内省的で陰鬱な歌詞やローファイで歪んだサウンドが特徴。

結成当時のオリジナルメンバーに、日向秀和(現ストレイテナーNothing’s Carved In Stone)、大山純(現ストレイテナー)等有名なプレイヤーが在籍していた事でも有名。

 

ART-SCHOOLといえば、2000年代前半のロックバンドを語る上で欠かせない、いわば「ロキノン系」の金字塔の様なバンドでありまして、その系譜は近年のギターロックにも色濃く影響を与えています。

 

まあ、良くも悪くも。ね。

 

 

 

 

根暗ロックの伝道師

 

突然ですが、このバンドのボーカル木下理樹という男が、2chなどのネット全盛期だった2008年ごろから「きのこ」と呼ばれていたことをご存知でしょうか。

知っている方は話は早いですね。どうぞ読み進めていただいて結構です。

 

何故きのこと呼ばれていたかと言えば、ズバリ髪型がきのこに似ているから。はい悪口。

 

実は現在若者バンドマンの中で流行している、所謂マッシュヘアーとか亀頭とか包茎とかカントンとか言われているあの髪型の元祖がこの男、木下理樹なのです。

そう、こいつが諸悪の根源。代わりに謝っておきます。皆申し訳ない。

 

僕が中学の時、ニコニコ動画ART-SCHOOLの曲が流れると「きのこおおおおお」という弾幕が決まって流れていたのを今でも鮮明に覚えています。

こんな冗談通じなさそうな見た目の男を死ぬほどいじり倒せるのがネットの悪い所。

 

 

 

アートの人気がピークだったのが、この曲が出た2003年ごろなのかな。さすがにリアルタイムで追いかけてはいないので不確かですが。

 当時はロッキングオンという雑誌の影響で、こういうオルタナと呼ばれるジャンルをやっているバンドが物凄く人気だったんですね。その波に乗った形で彼らもロッキングオンでは猛プッシュされていました。

 

何より革新的だったのが、この木下理樹という男の人間性。彼は本物の根暗。ナメてもらっちゃ困るぐらいの根暗。

バンドの総楽曲数は200曲近くあるのですが、全部歌詞が暗い。ネガティブだったり気怠さだったり、総じて否定的な歌詞を20年以上作り続けているのです。

加えて、声質も細く不安定な歌い方だったり、うつむきがちで猫背で歌う姿勢だったり、すべてが根暗という表現に結びついています。あと酒癖が悪いというおまけ付き。

 

 

このダメ男のバリューセットみたいな人間が、曲を書かせたらめちゃくちゃ綺麗なメロディーを作るんですよ

おまけに当時のメンバーには日向秀和大山純といった凄腕ミュージシャンが揃いも揃っていたわけですから、カッコいいに決まっているんですね。

 

 

そんなART-SCHOOL黄金期にリリースされたこの曲ですが、個人的には最高傑作と言っていいと思います。

 

のっけから「腐りきった感情で 僕は今日も生きている」と、節全開で攻めまくりの歌い出し。歌詞はやはり救いの無いまま終わっていくのですが、コード進行自体はGメジャースケール主体の明るめな進行になっている事によって、うっすら希望を感じるエンドロールのような楽曲になっています。

 

そして何より音が気持ちいいぐらいにローファイ。ひなっちが天才であることを嫌でも再確認させられるこの重低音。

 

この美しさと歪み切ったサウンドブレンドは正に奇跡。ダメ男が天下を取った瞬間である。

 

 

 

 

愛すべきポンコツ

 

 

実はこの黄金期はそう長く続かず、この曲がリリースされた2003年に日向秀和大山純の脱退、翌年レコード会社との契約終了。

その後はメンバーチェンジとレーベル移籍を何度か繰り返し、現在オリジナルメンバー(結成当時から在籍し続けているメンバー)は木下理樹のみとなっています。

 

この辺りから楽曲のクオリティだったり、歌唱力の低下などをネット上で叩かれることもあったのですが、世の根暗男子女子たちの生きる希望をそう簡単に見捨てられるわけがありませんよね。

 

 

近年のフェス対応型バンドの増加により、圧倒的に「他」を肯定するスタンスが主戦場となっているロックバンド界隈ですが、ART-SCHOOLは今も全くその真逆を貫くスタンスを変えることなく活動を続けています。

昨年リリースされたアルバム「In Colors」は、前述の黄金期のようなエモーショナルも感じられる傑作だったと思います。

 

現代のロックに脈々と受け継がれているギターロックの源流とも言えるART-SCHOOLを、是非とも愛してあげてください。

 

 

 

***

 

 

 

今回はこの辺で。次回は「ぐ」から始まる名曲を紹介します。

 

 

きのこおおおおおおおおおおおおお

 

 

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しりとり名曲紹介 No.12 [クロノスタシス / きのこ帝国]

 

 

なかやまきんに君のアーノルドシュワルツェネッガーの正しい発音の動画で何回見ても笑ってしまう系男子の落第です。

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

クロノスタシス / きのこ帝国

 

 

2007年結成、2012年に「渦になる」でDAIZAWA RECORDSよりインディーズデビュー、2015年に「桜が咲く前に」でメジャーデビューしたロックバンド。

 

まさかの前回のCONDOR44から連チャンでDAIZAWA RECORDS所属バンド。自分でもびっくりなのですが、筆者がYoutubeで音楽を探し始めた最初の頃に知ったレーベルなので、僕自身も好きなレーベルではあります。

 

2ndアルバム「eureka」までは、シューゲイザーやポストロックの影響を受けた轟音ギター鳴りまくりのサウンドがコアな音楽ファンから人気でしたが、ボーカル佐藤千亜妃のクールで美的なルックスが話題になっていました。

 

そして、その後リリースされた「東京」は、それまでのきのこ帝国とは少し毛色の違うエモーショナルな直球サウンドで、ラジオや口コミを中心にヒットしました。

一気に知名度が広がったタイミングで発表されたアルバム「フェイクワールド ワンダーランド」は、翌年のCDショップ大賞にノミネート、某ブログ記事の読者が選んだ2014年のベストアルバムランキングでは2位にランクインするなど、きのこ帝国の代表作となりました。

 

 

 

クロノスタシス」は、そのアルバムのリード曲であり、非常に人気の高い楽曲でありますが、僕はずっと、この曲について大変失礼な疑問を一つ抱いていました。

 

 

 

 

変な曲

 

 

いや、待ってくれ。炎上してもいいが僕の話を聞いてからにしておくれよ。

 

 

日本の音楽において、評価とは別に流行る音楽とそうでない音楽はある程度明白なラインがあって、一つはまず構成が分かりやすいということだったり、あるいはサビのメロディーラインのキャッチーさ、サビに向かうまでの助走が分かりやすい上昇のし方をしていたり、つまりJ-POPという大きな枠組みの中に如何に良質なメロディーを詰め込めるかという点が流行のポイントになっているのです。

 

 

もう言いたいことはお分かりかと思いますが、この曲が流行るはずがないんですよ。普通に考えれば。

 

だって、そもそもきのこ帝国といえばシューゲイザー直系のホワイトノイズぶっこんだり、長尺な曲も結構あったり、大衆には受け入れられて来なかった音楽をやっていたバンドなわけですね。

 

インタビューなどでも、フェイクワールドワンダーランドではポップスを意識的に取り入れたと発言しているだけあって、かなりメロディーがメロディーとして機能する曲が増えはしたものの、1年前まで春と修羅のような狂った曲を歌っていたバンドが何故ここまでファン層を広げたのか。その理由がこれ。

 

 

メロディーに頼らないキャッチーさ

 

突然ですが、Pharrel WilliamsHAPPYという楽曲をご存知でしょうか。CMなどでも有名な、めちゃくちゃ流行ったあの曲。

 

あの曲の最初を聴いていただきたいのですが、クロノスタシスの始まり方と同じなんですね。

つまり、この曲はヒップホップのサウンドを意図的に取り入れていて、J-POP的な響きがしない大きな理由ですね。

このサンプリングっぽい"タッタッタッタッ"というリズムを人力でやってしまうのが何ともお洒落。

 

そしていきなり歌に入るのですが、最初の4行でこの曲の言いたいことはすべて言い終わっている気がするんです。

 

コンビニエンスストアで 350mlの缶ビール買って

きみと夜の散歩 時計の針は0時を指してる

クロノスタシス”って知ってる? 知らないと君が言う

時計の針が止まって見える 現象のことだよ

 

最初聴いた時は、ここがAメロで後にサビが来ると勝手に思い込んでしまう日本人の悪い癖が出がちですが、最後まで聴くとどう考えてもこのラインがこの曲のメインであり、サビ的な役割であることが分かります。

 

そう、ここが要するに「メロディーに頼らないキャッチーさ」ということ。

 

主人公が「いつ、どこで、誰と、何をして、さらに何があって」という情景の描写が何一つ欠ける事無く簡潔にまとめられていて、聴き手がどう手に取っても同じ風景を想像できる。というか想像せざるをえないレベルなんですね。

 

しかも「コンビニ」「缶ビール」「夜の散歩」という情景が特に大学生ぐらいの若い層にはドンピシャで共感できる場面であることも、人気に火が付いた理由だと思いますね。ちなみに僕はビールが飲めないので惜しくも共感ビンゴ達成ならずでした。

共感ビンゴって何ですか?

 

勿論歌詞を追っていくとストーリーや背景がもっと深く描かれていくのですが、ポップスにおいて大事な要素である「短い時間にどれだけ良い要素を詰め込めるか」という点で、この最初の30秒は聴き手の興味を引き付ける上で完璧なラインであることが分かります。

 

邦楽の傾向としては、このような情景描写に重きを置いた歌詞よりも、心情の動きをロマンチックに表現したものやメッセージ性のあるものが共感されがちですが、その傾向を打ち破ったと言える、革新的な1曲だと思います。

 

以上を踏まえて、改めてこの曲を聴いていただければ、少し違った見方ができるかと思います。

やっぱり、佐藤千亜妃は美人だよね。

 

 

 

***

 

 

今回はこの辺で。次回は「す」から始まる名曲を紹介します。

 

 

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しりとり名曲紹介 No.11 [Good Night 44th Music / CONDOR44]

 

先週の記事からちょうど1週間経ちましたが、びっくりするぐらい面白い事がなくて書くことも何もなくて震えています。

 

本当に人生過ごしてきた中で1番何も起きなかった1週間だったかもしれない。多分仕事帰りに猫がいたのがマックス面白い出来事でした。反省。

 

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

Good Night 44th Music / CONDOR44

 

 

https://itunes.apple.com/jp/album/good-night-44th-music/210314629?i=210314643

 

 

前回と打って変わって知らない人も多いかと思うので、しっかり説明をしたいと思います。

 

CONDOR44は、1999年結成のスリーピースバンド。2001年に「Hush & Vane」でインディーズデビューし、2007年に3rdアルバム「Good Bye 44th Music」リリース後、しばらくの活動休止状態を経て、現在はバンド名を「44th Music」に改名し、インディーズでの活動を継続しています。

 

特徴は男女ツインボーカルと、とにかく退廃的でローファイな楽曲。クリーンと轟音ディストーションを器用に使い分けるギターも特徴の一つ。

 

当時のインディーズレーベルの中ではかなりの力を持っていたUKPROJECT傘下のDAIZAWA RECORDSというレーベルに所属していた事もあり、当時のインディーズバンドとかを追いかけていた音楽好きの間ではそこそこ知られたバンドでもあります。

 

 

そして、この曲を聴いてくださった方はお分かりいただけたかと思いますが、この曲はなんと12分越えという超大作。

 

どうした落第、君はJ-POPが好きだキャッチーなメロディーが好きだとあれだけ言っていたじゃないか。

やっぱりしりとりで繋いでいく以上こういう苦しいラリーも続けなくちゃいけないのか。大変だなぁ。

 

と、思った方。残念でした。

 

 

 

圧倒的エモみ

 

曲の構造自体のあらすじみたいなものを書くのは嫌なので、聴ける方はまず聴いていただきたいのですが、個人的には日本のギターロックでこういうプログレ的な展開の長めな曲の中では1番最後まで聴いていて飽きない曲だと思います。

 

まずイントロから鳴っているメインリフ的なフレーズがめちゃくちゃ切なくて良い。

このフレーズだけで1曲作ってもかなりの名曲だなぁと思いながら聴いていたらもうあっという間に3分過ぎている。すご。

 

実はこの曲が入ったアルバム「Good Bye 44th Music」は、バンドがライブ活動を丸3年休止し、創作活動に専念して作られたアルバムだそう。

まぁ曲を聴けばそれも納得ですよね。歌詞をとっても歌メロをとっても、1曲の間に10曲分ぐらいのアイデアが出し惜しみなく詰め込まれています。

 

 

 

かと言ってゴチャ混ぜ感があるわけでも無くて、テンポはどんどん変わっていきますがキーはずっと変わらず、加えてイントロの激エモギターリフがテンポチェンジしつつも繰り返し鳴る事により全体でまとまった1曲に仕上がっているのです。

いやぁすごい。こんな曲作れねぇっすよ先輩。

 

 

適任にも程がある声

 

ドラマとか見ていて、「うわぁこの俳優にこの役はさすがに無理があるだろ。。」とか思うことってありませんか。

あとは楽曲タイアップも同じく。

THE BACK HORNのコバルトブルーの伝説の謎タイアップを僕は忘れない。

 

このバンドのボーカルに関してはその真逆で、特に男性ボーカルの佐々木さんの声がめちゃくちゃこのバンドの質感にマッチしていて、他のボーカルでは補完できない魅力的な歌声ですよね。

 

筆者がバンドの中でも1番性的にグッとくるバンドGRAPEVINEのボーカル田中和将にも同じような魅力を感じる時があって、決してディーヴァのような情感てんこ盛りの歌い方ではなく、いい意味で無表情というか。

単純に僕の性癖なので別にそれが正しいとかではないですけどね。

 

やっぱり人間100人居れば常にミュージカルのように人生経験の酸いも甘いも100受け取れる人ばかりではないですからね。

「曇の日の空が薄暗い感じが好き」みたいな普通の感性に寄り添うような音楽もたまにはいいものです。

 

 

 

***

 

 

今回はこの辺で。次回は「く」から始まる名曲を紹介します。

 

 

最後に、このバンドの1stアルバム「00203」のCD帯に書かれていたシュール過ぎる1文で記事をしめたいと思います。

 

 

 

ママ、やっぱり僕ギターが大好きだよ!

 

 

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しりとり名曲紹介 No.10 [traveling / 宇多田ヒカル]

 

あっという間に、このしりとり名曲紹介も10曲目に突入しました。

 

毎週水曜日と言っておきながら、すっぽかしたり考えすぎて一週間延ばしたりしていますが、趣味なので勝手に許してます。

 

ここ最近は作曲と仕事でSuchmosジャアバーボンズを見間違えるぐらいには忙しかったのですが、ようやく落ち着いてきたのでまたボキボキ更新していきたいと思います。

末永くよろしくお願いします。

 

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

traveling / 宇多田ヒカル

 

 

 

1998年に15歳でデビューし、翌年発売のアルバム「First Love」は国内アルバム売上歴代1位を記録している、もはや説明不要のシンガーソングライター。

 

宇多田ヒカルがどれほど凄いアーティストかなんて、世の8割強は分かっていると思っているので特に言う事も無いかもなぁと思っていたのですが、やっぱりこの曲については語っておかないと整理がつかないので少しだけ語りたいと思います。

 

 

 

 

二十歳で作る曲のクオリティじゃねぇ

 

 

皆さんは成人式並びに同窓会には参加しましたか。

 

僕は中学の同窓会に参加しましたが、中学の頃僕のことを少し好きでいてくれた女の子が、同窓会で会ったら酒灼けしたカスカスの声の化粧バサバサのキャバ嬢みたいになっていた事があります。

 

一般的な二十歳なんて、ギリギリ善悪の区別もつかないような輩が山ほどいるし、自分が普段聴いている音楽の何が良くて何が悪いかも分からないのが普通の人間だと思うんですよ。

 

話を戻しますが、宇多田ヒカルさんは15歳でソロデビュー。

16歳で日本一アルバムを売り、20歳でこの曲を作っています。すげえ。同窓会で隣にこんな人が居たら僕は韋駄天の如く地を馳せ、家に帰ることでしょう。

 

とはいえ音楽の才能は8割〜9割が遺伝と言われているので、こんなスーパーアーティストの血を受け継いだ人と真っ向から勝負しようなんて思わないですけど、やっぱ悔しいじゃん!?

 

一世代に一人ぐらいはそういう天才が必ずいて、同じ世代でも椎名林檎は二十歳で歌舞伎町の女王を作っているし、野田洋次郎は二十歳で有心論を作っているし、Takaは二十一歳で完全感覚Dreamerを作っているし、ぼくりりは二十歳でぶっ壊れた。

 

 

 

そして、これだけのメンツを並べてもやはり桁が違うのがヒッキーさん。

彼女は二十歳でtravelingを作っているだけでなく、その四年も前に日本一アルバムを売り上げているわけで、ヒットにヒットを重ねてようやく成人式。

なんやねんそれ。ある意味一番荒れてる新成人やんけ。

 

 

 

キャッチーの塊

 

 

実はこの曲、作曲テクニックという視点で見ればそこまで派手な事はしていないんですね。

この方は作曲ガチ勢なので、急にあり得ないテンションコードを入れてきたり、コーラスの和音がめちゃくちゃ凝ってたりするのですが(曲でいうと真夏の通り雨とか)、この曲は基本的に同じコード進行の繰り返しがメインの曲です。

 

この曲の恐ろしさとも言える最大の魅力は、歌メロのキャッチーさにあると思っています。

 

とても耳がいい方なら分かるかもしれないのですが、この曲って明るいノリノリなナンバーの筈なのに、なんか不気味なくらい静かな気がしません?

 

唄声を除いたカラオケバージョンなんかを聴いていると、Aメロなんてベースとドラム以外ほぼ音が鳴ってないし、サビの上モノ(ベースとドラム以外の和音などの音色の事。普通はギターとかピアノが入る)の音は、ほぼコーラスの和音と細いシンセのソロの音しか入ってないんですね。

 

さすがにここ最近のEDMのような音圧はこの時代には無いにしても、他のアーティストと比べても音数が少ないのが宇多田ヒカルの特徴でもあります。

 

意図的かはわかりませんが、この手法は宇多田ヒカルがよく使うやり方で、「Beautiful World」なんかも明らかにバッキングの音数は少ないですよね。

元々ルーツがR&Bだという事もありますが、歌メロがキャッチーな分、余計な音を入れない指向は間違いなくあると思っています。

気付いていなかった方も、もう一度聴いてみると何となく分かるかと思います。

 

 

まあ歌メロのキャッチーさに関してはさすがに了承済みですよね。おいこれのどこがキャッチーなんだね説明しやがれと文句を言われても知らん。

 

まずイントロの〽タッタールの時点で完璧に近いキャッチーさ。何気に最初のタの音がF#でコードCM7に対してフラットファイブの役割を果たしているのも及第点。

そしてBメロでそのタッタールに歌詞が乗り、サビの頭に合いの手のようなフレーズを入れるという大発明。

まさに近未来の乗り物に乗っているようなワクワク感とスピード感。

 

また歌詞の韻の踏み方も素晴らしく、Aメロ「タクシーもすぐ捕まる(飛び乗る)」とか「不景気で困ります(閉めます)」と、韻を踏みながらストーリーを進める辺りほんと仕事ができる人。

 

更にBメロのサビ前には「平家物語」の文章が引用されているのも有名ですよね。

こういう細かいアイデアを盛り込める辺りもさすが。

 

もう減点のしようがないですね。参りました。立派に成人してください。

 

 

 

***

 

 

6年の活動休止を経て、またアーティスト活動を再開した宇多田ヒカルですが、まだ36歳というのが驚き。[ALEXANDROS]の川上洋平と同い年らしいです。

 

僕が小学生にもなってない頃に母の車の中でかかっていた宇多田ヒカルを、まさかコード進行から解説する日が来るとは思いませんでした。

僕はまだまだ先になりそうですが、とにかく良いメロディーを良い歌声で歌ってもらって評価されるよう努力していく所存でございます。

 

 

今回はこの辺で。次回は「ぐ」から始まる名曲を紹介します。

 

 

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ドキドキ!どれだけ知ってる?邦楽ロックバンドのボーカルの名前だけでバンド名当てクイズ【全部分かれば邦楽マニア】

皆さんドキドキしてますか。

 

 

ご無沙汰しております。ドキドキクイズ記事の第2弾になります。

 

この記事は、邦楽とロックバンドとクイズが大好きな筆者が、邦楽に関するクイズを出して遊ぼうというものです。

 

前回の「バンド名 or 小説クイズ」は分からないものが殆どだったと思いますが、今回は指向を少し変えて、いわゆる検定方式に近いです。

 

つまり「何問分かるかで音楽に詳しいレベルの指標が分かる」クイズになっています。

 

実に画期的。問題が作りやすい。

 

 

 

今回検定するのは、「邦楽ロックバンドのボーカル、ギターボーカルの名前だけを見てバンド名を当てる」というものです。

 

例えばRADWIMPS野田洋次郎クリープハイプ尾崎世界観のように、

バンドの知名度とフロントマンの知名度がほぼ一緒のバンドも多い中、バンド名は誰もが知っていてもフロントマンの名前はあまり知られていないバンドもいるなと思いまして。

 

 

なので今回出題するバンドは、多分すべて一度は聞いたことはある程度の有名なバンド名ばかりです。

此処大事。僕だってクイズの楽しませ方ぐらいは分かっていますので。

いきなり「上邨辰馬」とか出しといて「残念~正解はwooderd chiarieでした~」みたいなこと言い出したらぶん殴られても仕方ないですよね。

 

勿論そのバンドのファンであれば「こんなの難しくないよぉ!なんで問題にされてるんですかぁ!」と思うかもしれませんが、少なくとも僕は最後の問題のバンドはマジで調べるまで知りませんでした。

 

 

すべて分かる人は本物の邦楽オタクだと思うので大いに自慢しましょう。レッツトライ!

 

 

問題

 

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問題. これらのボーカル、ギターボーカルの方々がフロントマンを務めているロックバンドの名前を答えよ。

 

谷口鮪

②山口一郎

後藤正文

④宮﨑朝子

⑤斉藤宏介

飯田瑞規

⑦氏原ワタル

山口隆

⑨米田貴紀

 

 

難易度順に並んでいます。789辺りは恐らくバンド知名度との知名度格差が50%ぐらいはあるんじゃないかという難問です。

 

 

 

 

ヒント:⑦は現在活動休止中のバンドです。

 

 

 

 

ヒント:⑧は2005年にヒット曲を出したスリーピースバンドです。

 

 

 

 

ヒント:⑨は2016年にメジャーデビューした、京都のバンドです。

 

 

 

 

 

さぁ、もうちょい下に答えを書いていきますよ。

 

 

 

 

 

答え

 

 

KANA-BOON

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左から古賀隼斗(Gt.)、飯田祐馬(Ba.)、谷口鮪(Gt./Vo.)、小泉貴裕(Dr.)。

 

知名度格差ほぼゼロですね。やっぱり名前に特徴があるとグッと覚えやすくなりますね。

まさかこの辺で躓いてないでしょうね。。??

 

 

サカナクション

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左から江島啓一(Dr.)、岩寺基晴(Gt.)、山口一郎(Gt./Vo.)、草刈愛美(Ba.)、岡崎英美(Key.)。

 

こちらもよく知られた名前ですね。

ちなみに一般的な競技クイズでも「2005年に山口一郎を中心に結成された、・・・」という問題文でクイズとして出ることがあります。

一般的にも知られている名前ということでしょう。

 

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION

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左から伊地知潔(Dr.)、後藤正文(Gt./Vo.)、山田貴洋(Ba.)、喜多建介(Gt.)。

 

ご存知ゴッチさん。まあこの辺から知らない人がいても不思議ではないかもしれませんね。

 

 

SHISHAMO

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左から松岡彩(Ba.)、宮﨑朝子(Gt./Vo.)、吉川美冴貴(Dr.)。

恐らくライトなファンは分からない領域に入ったと思います。

 

 

UNISON SQUARE GARDEN

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左から田淵智也(Ba.)、斉藤宏介(Gt./Vo.)、鈴木貴雄(Dr.)。

これだけ分かった人もいるかもしれない。なぜならイケメンだから。

 

 

cinema staff

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左から久野洋平(Dr.)、飯田瑞規(Gt./Vo.)、辻友貴(Gt.)、三島想平(Ba.)。

個人的にはこの辺はそこそこ難問だと思います。ちなみに「いいだみずき」と読み、男性では少し珍しい名前ですね。

 

 

⑦DOES

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左から赤塚ヤスシ(Ba.)、氏原ワタル(Gt./Vo.)、森田ケーサク(Dr.)。

学生コピーバンドの金字塔。もしかして若い人は知らないかもしれませんね。

 

この名前を見る機会といえばカラオケでDOESを歌う時に作詞作曲のクレジットで出るときぐらいなので、それを覚えていれば分かる問題でしたね。

我ながら鬼畜。

 

 

サンボマスター

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左から木内泰史(Dr.)、山口隆(Gt./Vo.)、近藤洋一(Ba.)。

実は今回の記事を作るきっかけとなったのが、サンボマスターについて調べていた時でした。

テレビなどでも「サンボマスターのボーカル」というワードは面白ワード的扱いでよく出ますが、その人の名前が出ることはないので知名度格差がかなりある名前だと思っています。

 

どうでもいいけどドラムの方が一番ドラム顔じゃないですよね。

 

 

夜の本気ダンス

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左から西田一紀(Gt.)、米田貴紀(Gt./Vo.)、マイケル(Ba.)、鈴鹿秋斗(Dr.)。

 

最終問題は、あくまで僕の調査ですが、バンド名とボーカルの方の知名度格差1位のバンドです。

夜ダンのファン以外でこの問題が分かった方はかなりの邦楽オタク。もしかしてインタビュアーとか、ライターの方ですか?

 

僕もライブではよく見るので、鈴鹿さんの名前は知っていたんですけどね。

やっぱり夜ダンは硬派なバンドなので、アイドル売りしてない良いバンドということでしょうね。

 

 

 

***

 

 

 

さて、皆さんは何問分かったでしょうか。コメント等で教えてくれると僕も楽しめるので、是非コメント下さいね。

 

 

実は他にもバンドとボーカルの知名度格差が広いバンドがありますので、好評であれば第2弾もやろうかなと思っています。お楽しみに。

 

 

やっぱりクイズって楽しいですね。

 

 

 

しりとり名曲紹介 No.9 [よい朝を、いとしいひと / plenty]

最近めっきり寒くなって、この文章を打ち込む手も冷えきっています。

 

ちょうどこの時期、今住んでいる家に引っ越したのですが、ガスの設備が弱くてシャワーを浴びていると定期的に真水が10秒ぐらい流れます。

 

 

皆様くれぐれも風邪には気を付けてくださいね。 

 

クシュン。

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

 

よい朝を、いとしいひと / plenty

 

 

 

 

2004年に茨城県にて前身バンド結成、2008年にインディーズデビューしたのち、2017年に解散。

 

メジャーレーベルに行かず、最後までインディーズでの活動だったにも関わらず未だ若い世代を中心に絶大な人気を誇るスリーピース(たまにツーピース)バンドです。

 

読者の皆様にも好きな方は多いのではないでしょうか。

 

筆者はこのバンドの初期からのファンで、ラストツアー「拝啓。皆さま」高松公演を観に行きました。

ってか、解散驚いたよね。今更だけど。

 

 

かと言ってただ解散を惜しむような記事は書きたくないので、いつも通り曲の魅力とplentyのすごさについてぶつぶつ語りたいと思います。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

音楽性の変化

 

 

もともとplentyといえば、「ボクのために歌う吟」や「東京」に代表されるように、10代後半辺りの大人にも子供にもなれない微妙な時期の不安や怒りを、繊細で少年のような江沼くんの美声で歌いあげる事によって、世のネクラ中高生たちに爆発的な共感を生んだ、いわば陰キャ界のキリストのような存在でした。

 

 

そしてドラムの吉岡さんの脱退、1stフルアルバム「plenty」発売があり、その後の曲にも少しずつ変化が出てきます。

2nd フルアルバム「this」からはストリングスや民族楽器などのサウンドを取り入れて、楽曲も以前のシンプルなギターロックから遠ざかっていきます。

 

そしてplenty最大の転機、新ドラムス中村一太さんの加入。

あの伝説のバンドthe cabsのドラマー、あの神が招かれたのだ。

 

それからのplentyは、純粋に音楽を作るのを楽しむように、アンサンブル特化型の骨太な楽曲がどんどん生まれていきます。

 

そんな中シングルで発売された、この曲。「よい朝を、いとしいひと」。

改めて聴くと、本当に変な曲。本人もよく言っていますが、今までのplentyどころかロックバンドの中でもこんな曲聴いたことないです。こんな曲できるの井上陽水ぐらいじゃないでしょうか。

 

ただ、当時聴いた時から僕を含め友達のplenty好きの間でも「今回のplentyの新曲ヤバない?」と話題にあがるぐらい好きな曲でした。

実際この曲から戻ってきたっていう初期のファンも少なくないんではないですかね。

 

 

ドラムがすげぇ

 

 

この曲の肝は何といってもドラム。神がついに本気を出したかと。当時の僕は喜んだよ。

こんなリズムの取りづらい曲に、まずドラムフレーズを付けるのすら困難なレベルなのに、キャッチーさが上回っちゃってる。ドラムの方が耳に残る。

 

これですよ。the cabsの後ろで給食をずっと食べてる子供みたいな顔でずっとドラム叩いてただけの事はある。

 

 

かと言って楽曲がキャッチーじゃないかというとそうではなくて、メロディーがちゃんとAメロからサビまで作りこまれています。

何ならこの曲、歌メロはもちろんイントロのギターも、ベースもピアノも全部がキャッチー。それぞれ拍の取り方も違うのに綺麗に噛みあっているんですよね。

個人的には邦楽の中でもかなり「器用な曲」として上位に入るんじゃないかと思うレベル。

 

あと、歌詞もこの辺りから変化していった気がしていて、この後に出たアルバム「いのちのかたち」以降の楽曲では、ほぼ暗い歌詞が歌われていないんですね。

 

これが数年前まで「怖くてぇ怖くてさぁぁぁぁぁ」と歌っていた人と同じ人なんですね。

人って変わるものなんですよ。

 

 

***

 

 

plentyは解散してしまいましたが、現在はボーカル江沼さんのソロ活動も始まっています。

バンド自身が曲の方向性を変えていったのと同じで、バンドという形が変わっても江沼さんの表現である事にはずっと変わりないはずなので、解散を嘆くよりも今は新しい活動に期待するのみでしょうね。

 

 

今回はこの辺で。次回は「と」から始まる名曲を紹介していきます。

 

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しりとり名曲紹介 No.8 [Telecastic fake show / 凛として時雨]

新年明けましておめでとうございます。

 

 

今年も決して背伸びをする事なく、1人でも見て下さる方がいる限り、更新していこうと思います。

 

 

 

2019年1発目のしりとり名曲紹介は、邦楽ロック史上最もクセのある曲といっても過言ではないあの曲。

 

久々に聴き直してみたら、本当に頭がおかしいと思いました。

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

Telecastic fake show / 凛として時雨

 

 

 

 

2002年に埼玉で結成したスリーピースロックバンド。

2004年にピエール中野が加入して以降は、1度もメンバーチェンジを行わず現在も活動しています。

 

 

この楽曲は、2008年に自主レーベル「中野レコーズ」からリリースされ、メジャー1stアルバム「just a moment」に収録されました。

 

(筆者はこのリサーチをするまで、Telecastic fake showもメジャーからのリリースだと勘違いしていました。

この曲で凛として時雨の名前がドンと知名度を上げたので、まだインディーズだったとは驚き。)

 

 

凛として時雨といえば00’年代の邦楽ロックバンドの筆頭で、9mm parabellum bulletハヌマーン等と共に支持されてきたバンドの1つ。

前回の記事でも登場したワード「ロキノン系」というジャンルを語る上では欠かせないバンドの1つで、僕も当時から大好きで、べらぼうに聴き倒していました。

 

 

時雨を知っている方、もしくは好きな方は納得していただけると思うのですが、僕は時雨の良さを理路整然と皆様に説明できる気がしないので、ここからはIQを30ぐらいに下げて話したいと思います。

 

 

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演奏力がやべぇ

 

もうみんな知ってると思うけど、凛として時雨の演奏はマジでやべぇのです。

 

このやべぇには幾つか意味があって、単純にレベルの高さも勿論ありますが、実は更にやべぇポイントがあって、

 

どのパートも、中級者以上のレベルだと頑張ればコピーできる所。

 

勿論初心者から見れば「できる訳ねぇだろ!」と思うかもしれませんが、以外と曲構成さえ覚えてしまえば難しいレベルではないのです。

 

その証拠に、当時ニコニコ動画Youtubeでは凛として時雨の弾いてみた叩いてみた動画が鬼のようにあがっていて、当時のプレイヤー達の中では「時雨を弾けるか否かでプレイヤーのレベルが分かる」ぐらいの認識。

 

僕も中学か高校の時には、このTelecastic fake showのドラムを猛練習して、なんとか8割程度は叩けるようになりました。

 

 

凛として時雨は、この絶妙な難易度設定を作るのが異常にうまく、どれもある程度の器用さを求められながらも、海外ミュージシャンのような最初から無理ゲーみたいなテクニックを要さない範囲に留めています。

 

あと、

 

 

 

メロディーセンスがやべぇ

 

ここまで説明してきて、「あれ、そういえばこんなに演奏ひねくれていて声も癖ありすぎるし、大衆にウケる要素あんまり無くない。。??ここはどこ??ワタシはダレ??」状態になったのでもう一度聞きなおしてみたところ、とても大事な事を忘れていました。

 

 

このバンド、延いてはTK(ボーカルギター)の作曲センスはマジボコやべぇんです。

むしろそれが無ければ、このバンドがアニメタイアップなど多数起用されたり、Mステスーパーライブに出演することも恐らく無かったと思います。

 

 

やっぱりJ-POPリスナーはいつの時代も歌メロのキャッチーさ、切なさを求めていて、僕はそのアンテナが幼い頃からフル勃起状態だったので歌メロの重要性を日頃から是正し続けていますが、凛として時雨を初めて聴いた時も(このTelecastic fake showが初めて聴いた楽曲でした)、やっぱり声のクセは感じたものの、それ以上に歌いだしの「君の自由にもう飽きて」のキャッチーさに一瞬で惹かれる物がありました。

 

他の楽曲や、TKのソロ作品もどれをとっても歌メロやギターリフのキャッチーさが際立っていて、すごい。

 

個人的に時雨の楽曲だと「illusion is mine」という曲がまさにグッドメロディーの最高峰。知らない方は聴いてみてね。

 

 

正直バンドとして楽曲を作る上では、曲構成を複雑にしようと思えばどこまでも複雑にできちゃうわけで、それを突き詰めていくとマスロックとかDjentに派生していくと思うんですけど、なかなか多くのファンを掴むのが難しかったり、頭がハゲたりしがちなんですね。

そう考えると、凛として時雨が持つ複雑さとキャッチーさのバランス感覚は、日本のロック好きな若者の耳にジャストフィットちゃんだと思うんです。

 

このブレンドを編み出したTKこと北嶋徹は天才。鬼才。

ちなみに凛として時雨の作品の多くはTKが持つプライベートスタジオで録音しており、録音からミキシングにマスタリングまでしているそう。天才。

 

 

 

 

まあそれ以外のやべぇポイントは聴けば分かるし、恐らくここまで見てくださっている方は知ってると思うのでわざわざ語らないでおきます。

 

あ、レコーディングが1発録りなのもやべぇね。

 

 

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今回はこの辺で!次回は「よ」から始まる名曲を紹介します。

 

 

 

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