【全曲ランキング】Perfumeの話がしたい【コールドスリープ耐久】
Perfumeの話がしたい!!!!!!!!!!!!!!
皆様も一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
昨年末の紅白歌合戦でのパフォーマンスをもって無期限活動休止=コールドスリープを宣言した、日本のモンスターアイドルグループPerfume。
これまでブログやTwitterでもあまり言ってこなかったような気もしますが、私は高校時代にPerfumeにドハマりし、新作は勿論過去のシングルの初回盤もブックオフを探し回って買い揃えたし、中田ヤスタカに憧れてCubase(楽曲制作ソフト)を使い始めました。初期の頃にやっていた冠番組「HAPPY!」「Perfumeの気になる子ちゃん」「Perufmeのシャンデリアハウス」も全部見ました。山ちゃん最高。
今回は細かい理屈抜きでシンプルにPerfumeの好きな曲を語るだけの記事となっております。ブログの最後にはPerfumeの全楽曲を個人的に好きな順にランキング化したプレイリストも貼らせていただきました。皆様の好きな曲、思い入れのある曲をコメントで教えていただけると嬉しいです。
・Perfumeと私
Perufmeとの出会いは小学生の時、「ポリリズム」でのブレイクをきっかけにテレビで知った私は、「なんかよく分からんけど良い曲だな~」ぐらいに思っていました。歌番組を熱心に見ていたのでシングル曲はだいたい聴いたことあるぐらいの認識でした。
中学2年生の時に姉から教えてもらったRADWIMPSをきっかけにオルタナティブロックにドハマりし、ストレイテナーや9mm Parabellum Bulletといったテレビにあまり出ないバンドを掘り下げていくと共に、「大衆にウケるJ-POPと違うことをやってる音楽こそが正義」という偏った価値観が植え付けられていました。
そんな私が高校の時、何気なくYouTubeで「Spring of Life」のMVを見たのです。天地がひっくり返るような衝撃を受けました。
AKB48全盛期だった当時のJ-POPにおいて明らかに異質な音と突き抜けるようなサビのキャッチーなメロディ、「そうか、Perfumeってオルタナティブだったんだ」とバンド至上主義の私が違うジャンルに魅力を感じた瞬間でした。曲調に反してMVが暗めなのも革新的で衝撃でした。
当時は"音楽オタクが熱狂するアイドルグループ"という存在がほぼ無く、PerfumeをきっかけにNegiccoやBiSHといったアイドル×別ジャンルの音楽というパッケージが流行った先駆者的なグループでもあり、日本のアイドルシーン全体を変えたグループとなりました。
・好きな曲ランキング
ここからはPerfumeの好きな曲についてひたすら語るだけの時間です。
個人的に好きな曲を1位から最下位まで決めて、トップ30については1曲ずつコメントしていきます。
記事の最後には全曲のランキングをまとめたプレイリストを貼っています。あくまで個人的な好みでランク付けしているので順位に関するクレームはご遠慮ください。
30位~21位
・30位「ワンルーム・ディスコ」(9thシングル表題曲、「⊿」収録)
紅白歌合戦でも披露された有名曲。イントロのビームのようなサイン波のシンセが印象的なディスコナンバー。
サビとは別に「ディスコディスコ ワンルームディスコ」という印象的なリフレインを設けている辺りも中田ヤスタカお得意の構成と言える。
この曲がこの順位に来る時点でPerfumeの楽曲がどれだけ名曲揃いか思い知らされる。
・29位「恋は前傾姿勢」(19thシングル「Sweet Refrain」C/W)
Perfumeはシングルのカップリングに名曲を忍び込ませることが多く、この曲もそのうちの1曲。アルバム「LEVEL3」のアウトトラック的な扱いらしい。
初期Perfumeっぽさも感じさせるキュートでゆるめなテンポ感に油断しているとBメロ~サビで一気に美メロの沼に引きずり込んでいく魔曲。歌詞の世界観はとにかく可愛く女性人気が高い曲でもある。
・28位「Baby Cruising Love」(6thシングル表題曲、「GAME」収録)
「ポリリズム」フィーバーの直後にリリースされたシングル。歌番組でこの曲の印象について聞かれたあ~ちゃんの「右から左に流れていく曲」というコメントも印象的な1曲。
リリースのタイミングも相まって影が薄いと言われがちな曲だが、サビのコードチェンジが少なくメロの起伏も少ない辺り、むしろポリリズムよりも尖っている気がする。
・27位「STAR TRAIN」(22thシングル表題曲、「COSMIC EXPLORER」収録)
自身初のドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』の主題歌として書き下ろされた曲。
中田ヤスタカからPerfumeへのメッセージソングともとれるエモみ全開のナンバー。ポリリズム以降の非現実的なコンセプトから初めて人間味を前面に押し出した曲だったと思っていて、この曲以降より体温を感じる歌い方が増えた印象がある。
メロディーがどことなくGARNET CROWを彷彿とさせるのも良き。
・26位「ナチュラルに恋して」(10thシングル表題曲、「JPN」収録)
中田ヤスタカ絶頂期にリリースされた両A面シングルの1曲。Perfume流渋谷系サウンドの筆頭といえるオシャレなナンバー。
サビに休符を多用するファンクっぽいアレンジをエレクトロでやるという革新性と親しみやすいキャッチーさを兼ね備えた器用な楽曲。スキマスイッチが自身のカバー曲ライブで披露したことも話題になった。
ドラムが曲中通してずっと違うことしててかなりイカレてる。好き。
・25位「The Best Thing」(「⊿」収録)
ファンクラブライブでのみ披露される隠れた名曲。
原型が無くなるほど加工された声が印象的なポップソングで、渋い曲が多い「⊿」の中でも比較的取っつきやすいと思われる。さらっとサビが全英詩ですが、どこか日本的な情緒がある不思議なメロディー。こういうスルメ的な魅力があるメロを作れるのもヤスタカの凄いところ。
・24位「チョコレイト・ディスコ」(4thシングル表題曲、「GAME」収録)
説明不要のバレンタイン御用達ソング。一聴すると単に同じフレーズの繰り返しによるパンチ力でヒットさせたように感じるが、サビの途中でカノン進行から3625進行に変わったりイントロのサビもコード進行を変えていたりと、細部へのこだわりを感じる曲。
この曲を木村カエラがラジオで猛プッシュしたことで注目が高まり、同年のポリリズムでのブレイクに繋がったのはあまりにも有名。
・23位「Dream Land」(「LEVEL3」収録)
名盤「LEVEL3」のラストを飾る壮大なミドルバラード。
とてつもなく暗い世界観と渾身の美メロで、初めて聴いたあとしばらく体が動かなかったのを覚えている。メジャーデビュー以来ずっと掲げてきたPerfumeの"非現実"コンセプトの終楽章のような曲だと捉えていて、今作以降のPerfumeは現実世界との調和が歌詞にもよく表れるようになる。
ライブでもほとんど披露されないマニアックな曲ですが、知らない方は一度聴いてみてほしい。見る目が変わります。
・22位「微かなカオリ」(13thシングル表題曲、「JPN」収録)
「レーザービーム」との両A面シングル。ともに「キリン氷結」のCMソングとなっており、氷結をイメージしたフレーズを散りばめながら女性目線の恋愛を描いた歌詞で女性人気も高い1曲。
シンセバキバキ、映像演出モリモリのPerfumeも勿論素晴らしいですが、こういうシンプルに良いメロディを聴かせるだけの曲も素晴らしい。死角なし。
実はサビのコード進行がかなり変則的で、2サビに至ってはリハーモナイズされまくっていて高校生の頃耳コピして挫折した思い出。
・21位「edge」(7thシングル「Love the World」C/W, 「⊿」収録)
尖りパフュームの代表格とも言える長尺のダンスナンバー。ライブで頻繁に披露されるだけでなく、2019年リリースのベストアルバムにも収録されたり、2025年末のMステスーパーライブでも披露されるなどとんでもない好待遇を受けている。
無機質なフレーズのリフレインや長尺の間奏もまったく飽きさせないアレンジとライブでの視覚演出は圧巻で、正直もっと高い順位にする人も多いのでは。2000年代にこれを発明したのはヤバすぎる。
20位~11位
・20位「エレクトロ・ワールド」(3rdシングル表題曲、「Perfume ~Complete Best~」収録)
初期Perfumeを代表する名曲。今聞くとお世辞にも最先端とは言えないドラムの音色も、ミュージックビデオの時代を感じるCGの感じも、すべてがこの曲、延いては後の大ブレイクに繋がる大事な要素になっている。
崩壊していく”エレクトロワールド”において最後のメッセージを伝えようとする...という世界観が当時のPerfumeと重なって本当に切なくなる。
・19位「ラヴ・クラウド」(28thシングル「Moon」C/W、「ネビュラロマンス 前篇」収録)
後期Perfumeの中で圧倒的に好きな1曲。ここまで偉そうにコード進行ガ~転調ガ~などと語ってきましたが、この曲に関してはもう分からん。ジャズ理論を勉強しないと作れないであろうかなり高度な進行が次から次へと出てくる中田ヤスタカ史上最難関コード曲。これを恐らく感覚で作っていること、そしてキャッチーにまとめているのが本当に凄い。奇跡のような1曲だと思う。
ライブで聴いたら脳汁ぶっ飛びそうな盛り上がる曲調なのもPerfect。音楽オタクは全員聴きましょう。
・18位「FAKE IT」(12thシングル「ねぇ」C/W)
Perfumeお得意のカップリング表題超えシリーズ。アルバム未収録ながらライブの定番曲でファンからの人気も高い一曲。MVも作られたりしている。
「的な」というワードを軸に3拍目から始まるループのメロディーが非常に癖になる。シンプルだけど発明だなとしみじみ思う。
サビがメロディアスでない進行なのに対しAメロBメロが歌モノの進行というバランス感覚はチョコレイト・ディスコに近いところがある。ただイントロが流れればそんな細かい理屈もどうでもよくなるぐらいアガる曲なので、黙って身を授けましょう。
・17位「MY COLOR」(「JPN」収録)
「せーの!」で手のひらを上に掲げて始まるのが定例となっているライブ定番曲。
サビが二段構えとなっていて、Aメロ→Bメロ→サビA→サビBという特殊な構成となっている。コンピューターシティなんかも同じ構成。
Perfumeの中でも群を抜いて歌詞が具体性を帯びていて、ありふれた日常的な人の営みを描いているのが印象的。ブレイク直後の多忙な日々に自分を見失いかけていた3人の心情とも重なり、明るい曲なのに泣ける。がんばれ社会人。
・16位「レーザービーム」(13thシングル表題曲、「JPN」収録)
"氷結"のCMソングとして書き下ろされたPerfumeの代名詞といえるダンスエレクトロ歌謡。
音の近未来感に反してメロはかなりオーセンティックな日本歌謡のエッセンスがあり、サビの歌メロはヨナ抜き音階が使われている。コード感も含めてかなり渋みのあるメロディだが親しみやすさもあり素晴らしい。
シングル盤だと同時期に出たシングル曲と比べてやや低音域が抑えめになっていて、アルバム盤ではバキバキのシンセベースが足されたクラブ仕様になっている。あと奥田民生のカバーverも良い。
・15位「FLASH」(10th配信限定シングル表題曲、「COSMIC EXPLORER」収録)
映画「ちはやふる」主題歌として書き下ろされた楽曲で、”和”をテーマにした世界観とテクノサウンドを掛け合わせたPerfumeオリジナルな1曲。
メロのパターンはAメロとサビの2種類のみという平成以降のJ-POPヒットソングとしてはかなり珍しい構成。ちなみに同時期リリースの"新宝島"もこれに当たる。
今やポリリズムを凌ぐ代表曲ポジとして君臨する曲ですが、自分がこの時期Perfumeから離れていたのもありこの順位。MVもかなり好き。
・14位「だいじょばない」(17thシングル「未来のミュージアム」C/W、「LEVEL3」収録)
映画ドラえもん主題歌「未来のミュージアム」のシングルにB面として収録された攻撃的なダンスナンバー。私はねぇ…優しい表題曲の裏にエグいB面を仕込むのが大好きなんだよ…
系譜としては"FAKE IT"や"レーザービーム"のラインにありながら、より譜割りが細かくスピード感を得られる楽曲となっている。
LEVEL3期のB面は全曲レベルが高い。
・13位「VOICE」(11thシングル表題曲、「JPN」収録)
歌モノに全振りしていたJPN期の中でもトップクラスにキャッチーな中華テイストの1曲。
自分がまだPerfumeにハマる前にこの曲を歌番組で見た時、クレジットの作曲者を見て中田ヤスタカの名前を認識した記憶がある。
小細工抜きにしてメロの強度だけで押し切る構成で、何度も繰り返すサビがとにかくキャッチーで気持ちいい。イントロと落ちサビはお得意のリハーモナイズで音楽オタクくんにも優しい。
・12位「Spending all my time」(16thシングル表題曲、「LEVEL3」収録)
徳間ジャパンからユニバーサルミュージックに移籍して2枚目のシングル。
世界進出を意識して作られた曲で、ほぼ英語詞という挑戦的な1曲。英詞といっても歌詞の意味はほぼ無いに等しく単語の羅列のような無機質なものとなっている。当初はネイティブに受けるのかと疑問視されていたが、結果としてこの曲から海外ファンが大幅に増え後のワールドツアー成功にも繋がった。
謎の部屋に閉じ込められた超能力少女を演じるMVも含めて緊張感に満ちた1曲で、ライブでの演出も毎回凝っている。
GAME〜⊿に見られた実験的な要素をシングル表題曲として成立するバランスに仕上げた集大成的な曲といえる。圧巻。
・11位「Dream Fighter」(8thシングル表題曲、「⊿」収録)
初の日本武道館ワンマンのアンコールで新曲として披露された事でも話題になった、Perfumeの中でも珍しいメッセージ性の強い楽曲。
いい年こいた大人でも耳が痛くなるような挑戦的で怠惰を許さんとした力強さを感じる歌詞で、リリース当時のPerfume自身にも書かれているであろう内容となっている。Perfume好きの芸能人たちが特に好きな曲として挙げることも多い。
サビの後半でビートが急にシンコぺし始めたり、間奏のハイハットが16分裏を強調したりとドラムのフレーズが凝っているのも面白い。
10位~4位
・10位「シークレット シークレット」(「GAME」収録)
言わずと知れた名盤GAMEのリード曲であるメロディアスで強力な1曲。
"ポリリズム"でのブレイク後間もないPerfumeの近未来的で無機質なイメージを良い意味で裏切った会心の一撃といえる曲で、リアルタイムでGAMEを聴いていた自分にとっても衝撃でした。
この曲も歌メロ部分がAメロとサビの2種類のみで構成されており、サビが終わればすぐに次のサビが来る仕組みになっている。イントロのシンセも印象的でかなり気合いを入れて作ったのが伝わる。この曲がGAMEを名盤たらしめていると言っても過言ではない。
・9位「ポリリズム」(6thシングル表題曲、「GAME」収録)
代表曲。やっぱり改めて聴くと凄い。
この曲の凄さは散々色んな所で語られているので今更言う事も無いぐらいですが、個人的にこの曲の凄さはドラムにあると思っている。
ポリリズム以前のPerfumeの楽曲のドラムを聴くと今の時代からすればかなり安っぽい音に聴こえるが、むしろ当時の価値観では至って標準的なテクノポップの音とされていた。ポリリズムのような太いドラムの音色は"ポップじゃない"という認識だったのを、中田ヤスタカの先見の明によって大衆に認知させた。
楽曲に"ポリリズム"を取り入れるまでの経緯もウィキペディアに細かく書かれているので知らない方は是非読んでほしい。大袈裟でなくJ-POPを丸ごと変えた1曲といえるだろう。
・8位「Magic of Love」(18thシングル表題曲、「LEVEL3」収録)
パステルカラーが映えるMVも印象的なオシャレPerfumeの完成系といえる1曲。
当時の作曲ペースとは裏腹に全く枯渇を感じさせない、キャッチーで飽きの来ない美メロが楽しめる曲。メロだけでいうとトップ3に入るぐらい好き。
”ピュレグミ”のCMソングとして書き下ろされ歌詞の内容もそれを意識したものになっているが、全くいやらしさがなく上質なポップスとして無理なく聴ける歌詞となっている。
一番ハマっていた時期だった思い出も込みでこの順位。
・7位「不自然なガール」(10thシングル表題曲、「JPN」収録)
2ndアルバム「⊿」の直後にリリースされた両A面シングルの1曲。
リリース当初の音楽番組ではもう1曲の「ナチュラルに恋して」をプロモーションしていたのもあり時間が経ってから知った曲でした。"鬼キャッチー"と中田ヤスタカ自ら語るようにサビのメロディが印象的な1曲で、個人的にメロだけで言えば1番好きかもしれない。
サビの歌メロ「不自然な"ガール"」「惑わさないで"ね"」などの着地となる音にC#(7度にあたる音)を多用しており、湿っぽく浮遊感のある独特のメロディラインになっている。
・6位「SEVENTH HEAVEN」(6thシングル「ポリリズム」C/W)
ここでまたしてもA面超えカップリングシリーズの再来。
ファンクラブ限定ライブや地方公演などでまれに披露される隠れた名曲で、ファン人気も非常に高い1曲。
全体的にアコギとピアノが響く爽やかな音作りが楽曲の世界観ともマッチしていて何度聞いても胸キュンしてしまう。おじさんなのに。
おそらく全てのJ-POP楽曲で唯一「どれだけ」と「どんだけ」というフレーズが同じサビの中に出てくる曲。
・5位「再生」(13th配信限定シングル、「PLASMA」収録)
ベスト10の中ではダントツで新しめの曲。速めのBPMと切ないメロが光るエモーショナルな1曲。
この曲がリリースされて間もなくコロナ禍がやってきて、個人的にメンタルがどん底の時期に聴いていた思い出も込みで聴く度に泣きそうになる。
EDMやフューチャーベースを取り入れた楽曲が増えていた後期Perfume。そんな中オールタイムベストの直後に出たこの曲がまさに原点回帰といえるストレートな美メロで全ワイが大歓喜しました。
MVが過去のミュージックビデオをサンプリングして一文字ずつリップシンクしている風にはめ込むという粋な演出。
・4位「Love the World」(7thシングル表題曲、「⊿」収録)
大名盤"GAME"の直後にリリースされたシングル。自身初のオリコン1位を獲得した。
メンバー全員10代でリリースされた最後のシングルでもあり、都会の洗練された女の子を想起させるスマートな音作りの曲。
イントロと間奏で鳴るシンセの音色が非常に鋭くパキパキしたサウンドなのに対してボーカルにハイをごっそり削ったようなモワッとしたエフェクトをかけてある事でアンニュイなバランス感覚を演出してある所も流石としか言いようがない。
この先続いていく快進撃を予感させる、本当に隙がない大名曲。
ベスト3
・3位「Miracle Worker」(「COSMIC EXPLORER」収録)
シングルでも無いしMVも無いですが、正直1位でも良いかなと思ったぐらい好きな曲。
いわゆるサビ的な歌メロはなく、EDMのビルドアップ、ドロップを用いた曲構成。自分はそういう展開が特段好きなわけではないのですが、この曲は特別な普遍性というかこの展開にする必然性に満ちている。
Aメロにあたる部分の使い方も独特で、「君の迷宮で」「Fu~」のような細かい独立したパーツを組み合わせたような散文的な構成となっている。この文章としての拙さがかえって切なさを増強させているようにも思える。
この切なさとドロップ部分の解放感が組み合わさることで生まれる爆発力は何にも代えがたいものがありますよ。本当にありがとう、宇宙、生命、Perfume...
・2位「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」(「Perfume~Complete Best~」収録)
インディーズ時代からメジャーシングル3作までをまとめたベストアルバムの1曲目に新曲として収録された初期の大名曲。
メジャーデビュー後もヒットに恵まれず、次の年までにブレイクしなければ契約も危ういとされていた崖っぷちの時期に出たこともあり、"売れなかったアイドルとそのファンの別れ"のような悲しさを連想させる非常に切ない歌詞。本当に売れてよかったよ…
作曲面でもかなり斬新で、"微分音"と呼ばれる音階が使われている。微分音とは通常のピアノなどで現される12音階の更に間の音階で、通常の調性とは全部の音が異なる為、別世界のような危うい響きになる。おそらくヤスタカは狙ってこの音を使っているし、すべての楽器にピッチシフトをかまして作っている。イカれちょる。
ブレイク後もライブでたまに披露される曲ですが、この曲が始まった瞬間一気にあの頃のPerfumeがステージに現れる、そんな特別感がある曲。
・1位「Spring of Life」(15thシングル表題曲、「LEVEL3」収録)
本当に僅差ですが堂々の1位はこの曲でした。やはり高校生の頃にiPod TouchでMVを見た時の衝撃があまりにも強過ぎて、ドハマりするきっかけとなったので1位に選びました。
何と言ってもサビのキャッチーさに尽きる。J-POPの教科書。
普通のサビに1つあれば良いとされている要素だけで出来ているようなメロディで、「そう"Spring of Life"」(単音)「弾けるような」(昇降)「恋をしようよ」(反復)「Spring Up Speed Up」(跳躍)と、J-POPの旨味を凝縮したような完成度の高いメロディラインになっている。
このシングルからユニバーサルレコードに移籍した事もあり、2度目のデビュー曲ともいえる気合いに満ちたソングライティングが光る曲。凄すぎです。勘弁してください。
・終わりに

2025年の良かったアルバムを紹介するよ 【邦楽10選・洋楽10選】
皆さんごきげんよう。今年も1年お疲れ様でした。
Oasisをはじめ、RIP SLYMEやSuchmos、the cabsなど数多くのアーティストが待望の復活を果たし、国内外問わずポジティブな話題が多かった2025年。
新譜をディグる手段も増えて音楽オタクにも優しい昨今ですが、本ブログではそんなネットの音楽オタクがあまり取り上げていない作品にもフォーカスして紹介していきます。
今年から半期ごとではなく年間すべてをまとめて紹介するので大ボリュームとなってます。国内国外10作品ずつ、一気にチェケラ!
星野源 / Gen
もはや説明不要のビッグネームと化した変態、星野源の約6年半ぶりとなる待望の新作。
メガヒットとなった前作「POP VIRUS」をリリースした後、巨大なタイアップを数々こなしながら実験的な楽曲も同時にリリースする期間を経て、それらを見事に1つの作品に昇華してきやがりました。
複雑極まりないコードと譜割りをキャッチーなポップスに落とし込んだM-3「Star」、アメリカのジャズファンクユニットKnowerの楽器隊を迎えたM-2「Mad Hope」など、海外の上質なバンドからの影響を色濃く反映した作風。
シングル曲以外でポップ要素はほぼ無いと言って良いくらい挑戦的な作風でここまで高いセールスと評価を誇っているのは、付け焼き刃の衒いではない曲作りに対する偏愛と探究心の賜物と言えるでしょう。感動しました。
GRAPEVINE / あのみちから遠くはなれて
当ブログで最も取り上げた回数が多いであろう重鎮ロックバンドGRAPEVINEの19作目となるフルアルバム。
1997年のメジャーデビュー以来、一切途切れることなくコンスタントにクオリティの高い作品をリリースし続けるGRAPEVINE兄さんですが、今作も予想以上の傑作。
1月に発表した先行シングル「天使ちゃん」は、トーキングブルースと呼ばれる歌唱法を用いた衝撃的なロックナンバーで、30年近く曲を作り続けて新境地を開拓する姿勢に感服するほかありませんでした。
M-3「ドスとF」でのダンサブルで奇抜な音使いや、M-4「わすれもの」での暖かいストリングスと亀井亨(Dr.)による渾身の美メロなど、アルバム曲も名作揃い。間違いなく今が一番凄いバンドなのでライブを見てほしいです。意外とふざけたりしてくれます。
NOT WONK / Bout Foreverness
2010年に結成した札幌拠点のポストパンクバンドNOT WONKの5作目。
音楽オタクから絶大な評価を得た前作「dimen」から約4年の間に、レーベル移籍やメンバーの脱退など大きな環境の変化を迎えながら制作された今作。全7曲と少ない曲数ながら、これまで以上に緻密で壮大に作りこまれた楽曲が並ぶ聴きごたえ抜群のアルバムとなっている。
ロック色の強いメロディアスな初期2作、そこにポストロックやR&Bなどの要素が加わりコアな作風となったメジャー2作と積極的に変化を取り入れてきて、本作は更にジャズやフォークを取り入れ落ち着きのあるクリーントーン中心のギターやピアノを用いた重厚なアンサンブルを楽しめる。リード曲となるM-6「Some of You」は、静かなバンドサウンドから始まり徐々に音数を増やしながら加速度的に熱を帯び展開していく集大成とも言える今年トップレベルの名曲。終盤ノイズの洪水の中、これまでの作品でほぼ使われたことの無かった日本語詞で歌われるフレーズが印象的。
TOMOO / DEAR MYSTERIES
1995年生まれのシンガーソングライター、TOMOOの2作目となるフルアルバム。
2021年にYoutubeに公開した「Ginger」のMVが話題になって以降、瞬く間に売れ線街道を駆け上がり今年5月の日本武道館ワンマンはソールドアウト。
そんな無双状態の中完成されたアルバムですが、内容はだいぶ尖っていて挑戦的。特に後半はピアノの弾き語りメインで内省的な曲が多く、シングル曲とのギャップにやられました。
中でもラス前M-11「Lip Noise」の展開は圧巻で、休符の使い方から部屋鳴りの様な残響音の活かし方、全てが緊張感に結び付いて後半の盛り上がりを加速させる抜群の構成。サウンドプロデュースはBialystocksの菊池剛さんです。
現時点で既にキャリアハイを叩き出した様な貫禄を感じますが、この先の更なる飛躍も予感させる素晴らしい作品でした。あと歌詞がめちゃくちゃ良いです。
downy / 第八作品集『無題』
2000年に活動を開始した日本のポストロックを牽引するバンドdownyの8作目。
複雑極まりない変拍子と哲学的な歌詞、10年かかっても完コピできないような演奏を完璧にこなすライブで国内のみならず海外からも絶大な支持を得ている。筆者も大好きなバンドの一つです。
今年の始めにリリースされた、4拍を3分割したリズムでストロークするギターと生成AIによる不気味な映像が焦燥感を掻き立てるM-1「日蝕」、3rd辺りのエレクトロニカ路線っぽさを感じるクールなシンセの音が安心感すら感じさせられるM-2「剥離の窓」など、いい意味で変わらないdownyを貫くいぶし銀のような楽曲に浸れる作品。
フロントマンの青木ロビン曰く「これまでで最もポップになった」との事ですが、あくまでdowny基準なのでsumikaみたいなものを期待して聴かないように注意してください。
LIBRO / なかいま
日本のシップホップシーン黎明期から活動しているラッパーLIBROの9作目。
1998年にリリースした1stアルバム「胎動」から27年、長い活動休止期間を挟みつつも2010年代以降はコンスタントな活動を続けているLIBRO。前作「なおらい」に引き続き全曲セルフプロデュースによって制作された今作は、ベテランらしい柔軟な視点と盤石のソングライティングが光るアルバムとなっている。
リード曲M-1「運命が君に会いに来た」は個人的に今年のベストトラック筆頭で、万人に刺さるキャッチーさとオルタナティブな側面を両方兼ね備えた完璧な曲だなと思いました。この曲に象徴されるように、アルバム通しても明るくて殺伐さのないポジティブなエネルギーに満ちた優しい曲が詰まっている印象。表題曲であるM-9「なかいま feat.鎮座DOPENESS」での黄金タッグも素晴らしく、サンプリングによるホーンの音色も心地よい。
昨今増えてきている過度なディスや自虐に頼らず、気持ちいい音とリリックに徹底した快作。苦虫ツヨシさんによるアートワークもお洒落で素敵。
眞名子新 / 野原では海の話を
兵庫県生まれのシンガーソングライターの1stフルアルバム。
2016年より「神戸のあらた」名義で活動しており、2022年末より現在の本名で活動中。私は今年知ったばかりの彼ですが、1stフルとは思えない完成度でした。
キリン氷結のCMソングにも大抜擢されたM-1「さいなら」は、性急なカントリー調のコードストロークに個性的な声とバンドサウンドが乗る軽快なフォークソング。YouTubeに上がっている弾き語りアレンジもめちゃくちゃ良いです。
どの曲も完成度が高いですが、個人的にM-5「台風」のスケール感とジメッとした空気感をはらんだ音作りが好きでした。折坂悠太を彷彿とさせる掛け声もツボ。
まだ20代とは思えないソングライティング力と、外連味のない優しい人柄がとても魅力的なシンガーだと思います。めちゃくちゃモテるだろうなぁ。
RAY / White
2019年始動のアイドルグループ、RAYの4作目。
シューゲイザーやオルタナティブロックとアイドルソングの融合をテーマにしており、一般的なアイドルの楽曲には無い変拍子や長いイントロを多用する尖りまくった楽曲で人気を集めている。過去にはハタユウスケ(cruyff in the bedroom)、青木ロビン(downy)などアイドルとは程遠い孤高のオルタナバンド達による楽曲提供が話題となり、グループリーダー内山結愛さんの音楽オタクっぷりもXで注目を集めている。
本作ではイギリスのシューゲイザーバンドの巨匠Rideのマーク・ガードナーが制作したダンスナンバーM-4「Bittersweet」や、MO'SOME TONEBENDERが約10年ぶりにオリジナル楽曲を制作し話題になったM-2「星座の夜空」など、前作以上に多岐にわたる豪華な制作陣が参加。
ツインドラム+7拍子による長いイントロとプログレ的展開で渦巻くようなグルーヴを生む本作のハイライトM-8「plasma」は星優太(WOZNIAK)が作曲を担当、今年9月のワンマンライブではキダモティフォ(tricot)や中村一太(the cabs)など日本のオルタナ第一線バンドマンが集結し生演奏で圧巻のパフォーマンスを披露した。
近年こういうクリエイティブな楽曲をやるアイドルグループが解散したりして減ってしまった気がしていて、RAYは今一番熱いアイドルだと思います。ライブもかなり楽しかったです。
Guiba / 万祝
South Penguinの中心メンバーであるアカツカ、元Helsinki Lambda Clubの熊谷太起らによって2022年に結成されたオルタナティブバンドGuiba(ギバ)の3作目。
脱力感のあるオシャレなサウンドと少しシュールな歌詞が持ち味で、離婚伝説や浪漫革命といったシティポップ直系バンドのムーブメントに近い流れを感じる。
表題曲であるM-1「万祝」に象徴されるように、はっぴいえんどから続く日本語詞と邦楽らしい抒情的なメロディを実直に受け継いでいるアルバムで、口ずさみたくなるキャッチーさが全曲に散りばめられている。
M-6「髪」のイントロでは珍しいマンドリンの音色が使われていて、70's辺りの歌謡曲っぽさも感じる秀逸なアレンジだと思いました。
FCO. / INC
Tempalayのフロントマンによるサイドプロジェクト"小原綾斗とフランチャイズオーナー"が、バンド名を変更してすぐにリリースした1stフルアルバム。
昨年武道館公演も敢行したTempalayとは対称的に、極めてマイペースでゆるい活動を行っているプロジェクトで、その緩さが反映されたユーモラスな歌詞と一流バンドメンバーによるキレキレな演奏のギャップが魅力。
Jオルタナ全開なギターリフとメッセージ性皆無のリリックが心地良いM-7「異物混入」や、トーキングヘッズを彷彿とさせるダンサブルで直線的な音の配置が癖になるM-8「建築」が特にお気に入り。
12月上旬に出たばかりのホヤホヤの新作ですが、とても良かったので紹介しました。
Bon Iver / SABLE, fABLE
ここから国外編。
アメリカのフォーク/インディーロックを牽引するジャスティン・ヴァーノンによるソロプロジェクト、Bon Iverの5作目。
前作「i,i」から6年ぶりのとなる待望の新作は、初期のシンプルなフォーク路線に近い優しいサウンドと慈愛に満ちたマスターピースと言える作品。
2024年に今作の前半パートにもなっている「Sable」がEPとして先行リリースされるという斬新な試みを行い、そのEPからシームレスに「Fable」へ進んでいくという二部構成となっている。
全曲新曲で構成された「Fable」の完成度は凄まじく、愛をテーマに多幸感に満ちたサウンドで描くM-2「Everything is Peaceful Love」や、3人組ガールズバンドHAIMのボーカルであるダニエル・ハイムを迎えデュエット形式で歌われるM-7「If Only I Could Wait」など、プロデューサーとしても多方面で活躍しまくっているヴァーノンの創作力が忌憚なく発揮された珠玉の楽曲を堪能できる。
サウンドの感触は1stに近いものがあるが、原点回帰の一言で片づけるには勿体ない新境地を見せていると思います。
Tame Impala / Deadbeat
オーストラリアの鬼才ケヴィン・パーカー率いるTame Impalaの5年ぶりとなる5作目のアルバム。
今年リリースのビッグネーム達の中でも期待が特段大きく皆楽しみにしていた新作ですが、前作「The Slow Rush」から更にダンスビートを大胆に取り入れたトランシーな作風で、ダンスビート好きな自分にはぶっ刺さりました。
前作ほどポップ色が強い訳では無いにしろ、M-1「My Old Ways」のシンプルなピアノのリフは思い付きそうで思い付かなかった斬新なフレーズだと思うし、M-3「Dracula」の様なメロディアスでキャッチーなテーム・インパラ節もしっかり残っていて、流石の完成度。
自らの半生を"Deadbeat"(出来損ない)と名付ける潔さと辛辣さにも感銘を受けざるを得ない。
Quadeca / Vanisher, Horizon Scraper
2000年生まれ、アメリカのラッパー/シンガーソングライター、Quadecaの3作目。
今作は2020年代以降のネオヒップホップ的な潮流を汲みつつも、更にアコースティックやアンビエントを融合させた実験的な作風。リリックの凄さも去ることながらコードや音の作り込みに耳が行くので、ヒップホップに苦手意識がある方も入りやすいアルバムだと思います。
アコギと笛の絡み中心のメロディアスなリード曲M-4「GODSTAINED」や、比較的ヒップホップ色強めなM-7「DANCING WITHOUT MOVING」など前半は聴きやすい曲が続き、後半はアンビエント寄りのディープな曲が続く。終盤の核となる、ストリングスとピアノ中心の冷たく荘厳なサウンドで自身の孤独と葛藤を曝け出すM-13「FORGONE」は圧巻。
元ゲーム実況者という異色の経歴も持つ点からJoji(世界的に人気のシンガー、元YouTuber)を想起させるが、この先そんな肩書も要らなくなるくらい稀有なアーティストとなることを予感させるアルバムでした。
Whitney / Small Talk
2015年結成、シカゴのフォークロック・デュオWhitneyの4作目。
2010年代にデビューした海外バンドの中でもトップクラスに好きなWhitneyの待望の新作は、原点回帰と言える切なくて美しいメロと温かみに溢れたサウンドが詰まった傑作でした。
ややスタイリッシュになった印象を受けた前作も個人的には好きだったけど、やっぱりM-5「Dandelions」のような牧歌的で多幸感に満ちたサウンドがWhitneyだよなぁと改めて感じる。軽やかなアコースティックサウンドと切なさ全開のメロディでノスタルジーが嵐のように吹き抜けるM-7「In The Saddle」もお気に入り。
自分は当然シカゴと縁もない日本人なのに、こんなにも懐かしさや原風景を想起させるのは何故なのか。そしてネイティブだったらこのエモさをより高画質で感じられると思うと少し羨ましくもある。良いバンドです。
Parcels / LOVED
2014年にオーストラリアで結成されたダンスポップ/ファンクを主軸とするバンド、Parcelsの3作目。
4年前にも当ブログで紹介した筆者大好きバンドの1つですが、本作も期待を裏切らない抜群のディスコファンク満載アルバムでした。
今作で唯一ノア(Ba.)が手掛けたM-5「Yougotmefeeling」は、本作でも随一のキャッチーさと軽快さで駆け抜けるファンクナンバー。オープニングを飾るM-1「Tobeloved」はJ-POPの王道進行を使いながら構成は洋楽的なのが新鮮なナンバー。70'sっぽいコーラスもマッチしてて良き。
Parcelsの良さは楽しい・踊れる中に少し切なさが含まれている所だと思っていて、今作はそんなアンビバレントさを最も端的に示した作品になっています。ジャケもべらぼうに良いっすね。
Ethel Cain / Willoughby Tucker, I'll Always Love You
アメリカのシンガーソングライター、Ethel Cain(エセル・ケイン)の2作目。
ゴシックやアンビエントなど多様な音楽をクロスオーバーさせた重厚なサウンドと泣きの美メロが光る今作は、10曲77分という超大作。
当然1曲あたりの重量も大きいですが、リード曲のM-3「F**k Me Eyes」の煌びやかなバンドサウンドと至高のメロディは聴きやすさもあり入りやすい1曲。序盤2曲がエレキギターの弾き語り、ピアノの弾き語りと静粛に始まる事もあり、より開放感を感じる構成になっていて素晴らしい。
ラストを飾る15分超えの超大作M-10「Waco, Texas」は、自身の壮絶な半生を赤裸々に綴った歌詞とゆったりとした神秘的なサウンドで訴えかける珠玉の名曲。最後まで大袈裟に盛り立てるような事もせずじわじわと聴き手を飲み込んでいくような魔力のある曲だと思います。
i am robot and proud / Bird at Sunrise
カナダのトロント在住のショウハン・リームによるソロプロジェクト、i am robot and proud(通称ロボプラ)の7作目。
アナログシンセやトイピアノを駆使した柔らかい音色のエレクトロニカを20年以上作り続けているテクノ界の隠れた大御所で、現在も日本のラジオやテレビ番組などでよくBGMなどに使用されている。
筆者は邦楽ロックバンドも好きですがこういうテコテコした小気味よい音が大好きで、トクマルシューゴやレイハラカミと同じ理由で無条件に脊髄反射で体が求めてしまう音なんです。
そんなロボプラの7年ぶりとなる待望の新作ということでワクワクしながらリリースを待っていましたが、オープニングのM-1「Bird at Sunrise」の緻密で優しい音と鳥のさえずりで完全に心を持っていかれました。Xで映像とともに先行公開していたM-4「Line in a Grid」は展開も凝っていて飽きさせない。
20年以上創業当時の味を守り続けてくれるロボプラ先生、偉大すぎる。
bar italia / Some Like It Hot
2020年にロンドンで結成されたインディーロックバンドbar italiaの5作目。
Black Country, New RoadやSquidといったイギリスのインディーロック界隈がアツい中、一際異彩を放っていたこのアルバム。男女ツインボーカルのシンプルなバンドサウンドに、型破りな構成とノイジーなギターの絡みが魅力のバンドである。
前作よりも衝動的なノイズは抑えられスタイリッシュになった印象で、その辺は好みが分かれる部分でもあるようですが個人的には聴きやすくて好きでした。リード曲のM-1「Fundraiser」は今作随一のキャッチーな楽曲で、コード感がSPARTA LOCALSのような2000年代邦楽ロックっぽさも感じて懐かしい気持ちになりました。
全体的にドライで軽快なギターロックが続く中、サックスやピアノを用いたジャジーなサウンドのM-8「the lady vanishes」、M-12「Some Like it Hot」が良い味変にもなっていて飽きない構成となっています。
Tennyson / aka
カナダ出身のエレクトロアーティスト、Tennysonの4作目。
2012年に兄弟ユニットとして活動を開始し、2021年から兄ルークのソロ活動となる。音数の少ない軽やかなエレクトロサウンドと、どこか切ない抒情的なコード感が持ち味で、PAS TASTA等の国内アーティストとのコラボも行っている。
私は今年YouTubeでM-4「it's idea!」のMVを見てこのアーティストを知って、一発で好きになりました。曲中ずっとリフレインしているアナログシンセで作った木琴のような音色のフレーズが癖になる爽快なミニマルテクノ。深夜のテレビで流れていたら見入ってしまいそうな映像もセンス抜群。
アルバム全体を通しても非常にシンプルなサウンドで構成された曲が多く、ここ数年増えてきている過度にハイレベルな耳を要する複雑な音楽が合わない方に打ってつけな作品だと思います。
Say She She / Cut & Rewind
ニューヨーク・ブルックリンを拠点とする女性3人組ユニットSay She Sheの3作目。
70's~80'sディスコ、ソウルミュージックの影響を色濃く反映したレトロなサウンドに乗せて女性の社会意識を歌うインパクトの強い楽曲が持ち味で、2022年のデビュー作「Prism」から更にディスコ色を前面に押し出した力強い楽曲が揃う。
表題曲であるM-1「Cut & Rewind」から、もろ70'sを匂わせるコーラスワークとダンサブルなビート、そして皮肉たっぷりの女性視点によるリリックが痛快な1曲。タイトル通りのファンキーなディスコナンバーM-3「Disco Life」や、デュラン・デュランを彷彿とさせるイントロからパーカッシブなサウンドに流れ込むM-8「Shop Boy」辺りもツボ。
コンセプトや佇まいを見てもセンセーショナルなカリスマ性を感じるグループですが、楽曲単体で見てもかなりハイクオリティで隙が無いです。日本ではまだ知名度が低いようですが、CHAIのように女性のカリスマ的存在となってほしい。
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最後まで見て下さり、ありがとうございました。
皆さんの推し盤はありましたでしょうか。このブログをきっかけに新しい好きを見つけられたとしたら、この上ない幸せです。
最後に、今回紹介した作品に加えて個人的に好きだった2025年のベストトラックをプレイリストにまとめたものを共有しています。全100曲という途方もないボリュームとなっているので、作業用BGMなど適当な場面でお使いください。
それでは、また来年お会いしましょう。
2000年代邦ロック・ストレイテナー全アルバム解説&全曲ランキング (後編)
前回に引き続きストレイテナーの全アルバム解説と、個人的全曲ランキングを紹介します。
前編はこちらから。
- ・円熟期~現在 (2014年-2024年)
- ・Behind the Scene (2014年10月22日 Virgin Music)
- ・COLD DISC (2016年05月18日 Virgin Music)
- ・Future Soundtrack (2018年05月23日 Virgin Music)
- ・Applause (2020年12月2日 Virgin Music)
- ・Blank Map (2019年10月09日 Virgin Music)
- ・Crank Up (2021年11月17日 Virgin Music)
- ・The Ordinary Road (2024年10月30日 Virgin Music)
- ・まとめ、ベストアルバムについて
- ・個人的全曲ランキング200
- ・おわりに
・円熟期~現在 (2014年-2024年)
より深いバンドサウンドを追求した作品を立て続けにリリースした黎明期を経て、徐々に丸みを帯びて新しい方向性を確立していくまでの時期。
・Behind the Scene (2014年10月22日 Virgin Music)

フルアルバムとしては約3年ぶりとなる8作目。
アルバム全体としては黎明期のような実験性を残しつつ、「彩雲」など後期テナーの代名詞とも言える王道ソングが生まれた作品でもある。
急展開の連続でジェットコースターのように駆け抜ける「Super Magical Illusion」や、グリッチ風に加工したサウンドを駆使した「78-0」など、アルバム全体の曲の振り幅が非常に大きいです。
前半6曲はポップで聴きやすく、後半6曲はマニアックなオルタナ路線が固まっているので、聴き進めていくとどんどん深みに嵌っていく感覚になります。
・COLD DISC (2016年05月18日 Virgin Music)

前作から約1年半と短めのスパンでリリースされた9作目。
ここに来て新たな代表曲となった「シーグラス」など、ストレートに良い曲を作る事に拘ったアルバムとなっている。
スピッツと対バンした際に草野マサムネがリクエストした事もある「Alternative Dancer」は、サビが2段構えのような構造になっていてテナーの新境地とも言える大人なダンスロック。
ベスト以外から入るならまずこれとNexusを通して聴いてみるのが吉です。
・Future Soundtrack (2018年05月23日 Virgin Music)

2017年にトリビュートアルバム「PAUSE」を発表し、メジャーデビュー15周年のアニバーサリーイヤーに発表された10作目。
内容はテナーの中でもトップクラスにロック色の薄いアルバムで、ミドルテンポの優しいナンバーが揃っている。
生のバンドサウンドでのEDM的な音抜きが新しい「タイムリープ」や、本作唯一ライブで盛り上がりそうな「Last Stargazer」などテナーらしさも残しつつ、歌詞サウンドともにこれまでと比べて非常に素直でJ-POP的と言える。
中期のようなオルタナ路線が好きな人には少し物足りないかもしれないが、シーグラスから入った人には違和感なく楽しめるアルバムだと思います。
・Applause (2020年12月2日 Virgin Music)

前作「Future Soundtrack」がストレイテナーの新しい方向性を提示した作品だとすれば、本作はそこから更に派生して幅広い楽曲を揃えたアルバムと言える。
久々のアッパーなロックナンバー「Death Game」「ガラクタの楽団」も、初期の楽曲にはない分かりやすいキャッチーさがあってJ-POPリスナーにも聴きやすいバランスで作られている。
そしてテナーのアルバムでは初めて全曲日本語詞となった。これまでの歩みを振り返るような「No Cut」には感涙。
・Blank Map (2019年10月09日 Virgin Music)
・Crank Up (2021年11月17日 Virgin Music)

Applauseの前後に発表されたミニアルバム2作。タイトル的にもシリーズ物感があったのでまとめて紹介。
「Blank Map」の方は1曲目がライブの登場SEに使われているほぼインスト曲なので実質4曲と言ってもいい。ロック色は控えめながら曲の水準は高く、「青写真」はライブで非常に映えるカッコいい曲。
「Crank Up」はロック色強めで初期っぽさを感じる曲もあり個人的にはこちらの方が好き。聴かせるバラードからアッパーな楽曲までバランス良く揃っていてかなり優秀。
どちらも飽きずに通して聴ける良い作品。お勧めです。
・The Ordinary Road (2024年10月30日 Virgin Music)

2022年には633(テナーの変名バンド)のアルバムリリース、2023年はベストアルバム「フォーピース」をリリース、そして3度目の武道館ワンマンを敢行しベテランバンドとしての貫禄が隠し切れないストレイテナーの最新アルバム。
フルアルバムとしては約4年ぶりとなる待望の新作は、ポップとオルタナの融合という初期から貫徹してきたコンセプトの完成系と言える力作。
ピアノと激しいバンドサウンドが絡むド派手なダンスロック「Skeletonize!」をはじめ、複雑なコード進行と転調を繰り返しながらキャッチーなメロディーに落とし込む「リヒトミューレ」など、25年培ったスキルと円熟味を丁寧に抽出している。
前作「Applause」よりも全体的に明るく外向きな印象もあり、最後まで聴き終えた後の爽快さは今までの作品にはあまり無かった気がする。
・まとめ、ベストアルバムについて
前編から合わせてフルアルバム全12作、ミニアルバム8作という大ボリュームをざっくり紹介させていただきました。
筆者の主観とファンの総意を鑑みて初心者にお勧めしたい作品は、
・TITLE (2nd、2005年)
・Nexus (5th、2009年)
・COLD DISC (9th、2016年)
・The Ordinary Road (12th、2024年)
この辺りから入っていけば、テナーの変容と魅力が十分に伝わると思います。
そしてストレイテナーには4枚のベストアルバムが存在し、それぞれ選曲が被っていたりいなかったりします。
2018年ごろまでの代表曲は「BEST of U -side DAY-」「BEST of U -side NIGHT-」の2枚で拾えます。オリジナルアルバムには入ってない「From Noon Till Dawn」「シンクロ」「Braver」といった人気曲も収録。
2023年にリリースされた「フォーピース」は、4人編成以降の楽曲のみ対象のファン投票ベストで、近年の人気曲をより詳細に知ることができます。「246」「Silver Lining」はオリジナル未収録。
・個人的全曲ランキング200
2025年4月現在、ストレイテナーがこれまでにリリースしたオリジナル楽曲(カバー曲は除く)がちょうど200曲である事が分かったので、これを機に個人的全曲ランキングを作ってみようと思いました。
筆者は自分のバンド活動において作曲をやっている事もあり、かなり作曲オタク視点でのランキングになっているかもしれません。
・ランキング対象楽曲
ストレイテナーの全国流通盤(インディーズ含む)に収録された楽曲。
ホリエアツシが作詞作曲に関わっているオリジナル楽曲に限定するので、シングル「Little Miss Weekend」のカップリング「Electricity」(Spiritualizedのカバー)、シングル「灯り」のカップリング「鱗」(秦基博のカバー)およびトリビュートアルバムに収録されたカバー曲は除きます。
リミックス、アレンジ違いは基本的に除きますが、タイトルが別物になっている「T.W.D.A.L.L.A.」、「Electrography」は別曲としてカウントしました。
・1位~50位

個人的1位は2018年のベストアルバム投票でも1位になった「REMINDER」。Aメロとサビだけのシンプルな構成ながら、切なさと高揚感を掻き立てる完璧なメロディ。テナーと出会った中学時代をいつでも思い出せる名曲。
2位の「Lightning」は、1位にしようか迷ったぐらい僅差でした。初めて聴いた時「こんな音楽があるのか」と衝撃を受けた。生涯で1曲で良いからこんな曲を作ってみたいと思う。
45位の「MEMORIES」は、ファン投票で上位に来るようなキャッチーな曲ではないものの個人的に大好きな曲で、邦楽らしからぬ不安定なコード進行と退廃的な世界観が最高にクールでオルタナ好き男子の心を掴んで離さない1曲。
・51位~100位

53位「WHITE ROOM BLACK STAR」はオリジナルアルバム未収録の隠れた名曲。ファン人気は高いので必聴。
ここまででNexusから既に8/10曲ランクインしていて、恐るべし。
・101位~150位

2013年の武道館ライブで一度だけ披露した「LEAP IN THE DARK」をはじめ、ファンなら知ってて当然のアルバム曲やカップリング曲が並ぶ。
113位の「FREE ROAD」は、COLD DISCのシングル群で唯一アルバム未収録のカップリング曲。OJのアルペジオが郷愁を誘う隠れた名曲。
・151位~200位

テナーの最深層と言える下位50曲。ライブでも殆どやらない魔境のゾーンです。
「ニコル」はインディーズ期のシングル「Another Dimentional」のカップリングで、現在は超プレミアが付いて入手困難な曲。いつかサブスク解禁してほしい。
そして最下位は「Mount」。the PeteBestというバンドとのスプリットミニアルバムに収録された曲で、こちらも原盤はプレミア価格でしか買えない。サブスクで聴くことはできるので、興味のある方は聴いてみて下さい。
こちらのランキングをApple Music用の共有プレイリストにしたので、下のリンクから飛んで聴くことができます(サブスク未配信の「ニコル」を除く199曲)。
ご自由にお楽しみください。
・おわりに
前編からここまでとんでもなく長い記事となりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。
ここ数年でストレイテナーを知って好きになった人の経緯をSNSなどで見かけると、「自分の好きなバンド(若手)の対バンで見て知った」という声が圧倒的に多いことに気付きました。
2000年代に邦楽ロックを聴いてきた世代のバンドマンから圧倒的な支持を得てきたからこそ、対バンを通して認知度が広がることを嬉しく思います。
これからもストレイテナーの活動が末永く続くことを心より願っています。
テナちゃん大好きやでぇ〜

2000年代邦ロック・ストレイテナー全アルバム解説&全曲ランキング (前編)
ストレイテナーというバンドをご存じでしょうか。
この記事を見に来てくれた方は既に知っている方がほとんどかと思われますが、今回の記事はストレイテナーの事しか考えない完全1バンド贔屓記事となります。
筆者のテナーとの出会いは中学2年生の頃、インターネットの有象無象からロキノン系という界隈を知り聴き漁っていく中で、YouTubeに当時非公式で上がっていたMelodic StormのPV(低画質)を見たのがきっかけ。
一目見た時からそのメロディー、歌詞、声、そしてどことなく漂う幸薄さ、何もかもがドストライクで一気に虜になりました。
中2の時に聴いていた音楽を人は一生聴き続けると言いますが、筆者もまんまとそのジンクスに全乗っかりで、未だにライブの打ち上げでちょっと上の世代の方と話すときは「あの、、ストレイテナーとかACIDMANとか好きっすか、、?」と開口一番にカマしてしまう。
作曲オバケのギタボ、筋トレYouTube配信ドラム、登山家ベース、イケメンリードギターの4人からなる日本のロックバンド・ストレイテナーをこよなく愛する筆者が、これまでの彼らのディスコグラフィーを全作解説しながら、最後は主観ダダ漏れの個人的全曲ランキングを紹介させていただきます。
飛び抜けたセールスや動員を記録することこそ無いながら、20年以上メジャーに居続けながら3度の日本武道館でのワンマンを敢行するなど非常に高いポテンシャルを持つストレイテナー。
しかしその音楽性は簡単にまとめる事が非常に難しく、時期によって大きく変容しながら続いている特異な音楽性を持つバンドである。
そんな彼らの長い歴史と豊富なディスコグラフィーを解説しながら、少しでもストレイテナーに深く興味を持ってもらうきっかけになればこれ幸いです。
・結成~インディーズ期 (2000年-2003年)
長崎県で生まれたロック少年ホリエアツシ(Gt./Vo.)とナカヤマシンペイ(Dr.)の二人で始まったストレイテナーが、上京し下北のライブシーンに登場。
ギターとドラムのみで掻き鳴らす粗削りなパンク/ガレージロックは当時のインディー界隈の中でも一際異彩を放っていた。
ここ数年のストレイテナーとはもはや別物と言ってもいいレベルで音楽性は異なるが、根幹にある歌メロのキャッチーさと一捻りあるコード進行はこの頃から構築されているように思える。
・STRAIGHTEN IT UP (2000年7月25日 LD&K)

初の全国流通盤。ホリエアツシが今もファンを公言しているTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの影響をモロに感じる荒々しいガレージロック。
「YES, SIR」以外は近年のライブで披露されることはほぼ無いが、ナカヤマシンペイがメンバーとして在籍しているバンドZantöのライブでは「I'm OK.」をカバーすることがある。
本作は廃盤となっているが、インディーズ期の楽曲は後に「Early Years」というコンピ盤に収録され、そちらで聴くことができる。
・ERROR (2001年1月10日 LD&K)

約半年ぶりとなるミニアルバム。先行シングル「Another Dimentional」や前作に収録されていた楽曲をリアレンジした「T.W.D.A.L.L.A.」など全6曲。
1stのガレージロック色は薄れ、パンクやメロコアに近い作風。
編曲においても初めてピアノが使われるなど現在のストレイテナーにも通じる実験性を感じられる作品。
こちらも現在は廃盤。
・SKELETONIZED (2002年4月5日 LD&K)

ELLEGARDENやASIAN KUNG-FU GENERATIONといった同年代のバンドに出会い着実に人気を集め始めたストレイテナーの3作目。
現在のライブでも非常に重要な位置で披露されるアンセム「Rocksteady」や、2017年のトリビュート盤でアジカンによってカバーされた「Senseless Story Teller Sony」など、作曲面におけるホリエアツシ節のようなものが生まれた作品と言える。
「Fragile Silencer」は隠れた名曲。
※上記の3作はアルバム「Early Years」にて全曲聴くことができます。
・SILVER RECORD (2002年10月9日 ghost records)
・Silent Film Soundtrack (2003年4月16日 ghost records)

自主レーベルghost recordsを立ち上げリリースされたEP。こちらの2作はテナーの中でもトップクラスに影が薄い2枚ですが、それぞれのリード曲「SILVER STAR」「COLD SLEEP」は是非抑えてほしい名曲。
先述のコンピ盤「Early Years」や後にメジャーから出るベスト盤にも一切収録されず音源を聴くことすら困難だったが、先日めでたくサブスク解禁された。
・メジャーデビュー~スリーピース期 (2003年-2007年)
2003年に満を持してEMIよりメジャーデビューし、売れっ子バンドへの階段を駆け上がる…とはいかなかったものの、独自の音楽性を構築し強力な楽曲を量産した2000年代中期のストレイテナー。現在のテナーの基盤となる重要な作品揃いのセクションだ。
・LOST WORLD'S ANTHOLOGY (2004年1月21日 東芝EMI)

メジャー1st、初のフルアルバム。ギターとドラムのツーピースでメジャーデビューという触れ込みで鮮烈なデビューを飾ったが、レコーディングには既にひなっちが参加している。
デビューシングル「TRAVELING GARGOYLE」や当時のライブで定番だった「MAGIC WORDS」など、インディーズ期の延長にありながら音作りや楽曲の幅広さがグレードアップした作品。
ストレイテナー入門のアルバムとしては優先度は低いものの、パワフルで爽快なロックアルバムとして非常に完成度が高い。
・ROCK END ROLL (2004年6月23日 東芝EMI)

当時ART-SCHOOLのメンバーとしても活動していたひなっちこと日向秀和(Ba.)が、約1年のサポート期間を経て正式加入。
こちらのミニアルバムはリード曲の「REMINDER」とインディーズ期の代表曲「ROCKSTEADY」の再録が目立つが、テナー流ミクスチャーロックの先駆けとも言える「POSTMODERN」など、このEPでしか聴けない3曲もなかなか面白い。
・TITLE (2005年1月26日 東芝EMI)

ひなっち加入後初のフルアルバムで、初期ストレイテナーの完成形とも言える傑作。
ツーピース時代最後のシングル「TENDER」の3人ver.や、テナー初のベースリフから始まる「泳ぐ鳥」など、近年のライブでも頻繁に披露される強力な楽曲が多数収録。
代表曲の一つ「KILLER TUNE」はシングルバージョンと大きく異なるアレンジで収録されているが、ライブではこちらのアルバムバージョンに近いアレンジで披露される。個人的にはシングルバージョンの方が好き。
・Dear Deadman (2006年03月08日 東芝EMI)

初のZepp Tokyoワンマンやサマーソニックへの初出演など、着実に動員とセールスを伸ばしながら完成させた3rdアルバム。
言わずとしれた代表曲「Melodic Storm」や、毎年11月になるとライブで披露される「The Novemberist」など、前作で確立したオリジナリティを更に強化した作品。
スリーピース時代のフルアルバムの中では最も収録時間が短くテンポの速い曲が多いので、ベストから一歩踏み込むならこちらをお勧めしてもいいと思います。
因みに「Tornado Surfer」はインディーズ期にライブで披露したことがある曲。
・LINEAR (2007年03月07日 東芝EMI)

フジロックやMステ出演など更に飛躍を遂げ、最も脂の乗っていた時期にリリースされた4thアルバム。
シングル曲こそ聴きやすく入門ウェルカムな作品かと思いきや、アルバム曲はかなり実験的で異色な曲が並ぶ。
静かな導入から打ち込みのドラムが入りプログレ風に展開していくオープニング曲「CLARITY」、OJ加入までライブで披露されなかった「LIVES」など、前作のようなアグレッシブさを求めて聴くとやや肩透かしを食らう暗めなアルバム。
この時には既にホリエアツシはスリーピースに拘らない広い表現をしたかったことがよく分かる。
・Immortal (2007年11月21日 EMIミュージック・ジャパン)

LINEARから約半年後にリリースされたミニアルバム。
スリーピース時代最後の作品で、ロック色が強く構成も良いのだが、如何せん突出した人気曲が無いためか後追いで聴く方にはスルーされがちな作品。
6/8拍子のダンスロック「FREE」やテナー初のインスト曲「SNOOZE」など、テクニックに重点を置いた難易度の高めな曲が多い。
マニア向けな作品と言えるが、内容は充実してます。あとジャケが良い。
・フォーピース黎明期 (2009年~2013年)
2008年の秋、日向と同じくART-SCHOOLのメンバーだった大山純が加入。
フォーピースとなり音楽の幅にも飛躍的な変化が訪れる。この時期のストレイテナーが個人的にも最も好きだし、ファンからの人気も高いと思います。
・Nexus (2009年02月11日 EMIミュージック・ジャパン)

OJ加入後初のアルバム。筆者がストレイテナーに出会ったタイミングで最新のアルバムで、最初に買ったアルバムでもあります。
ファンからも非常に評価の高いアルバムで、10曲中6曲がベスト盤入り経験を果たしている充実っぷり。
ホリエアツシがインタビューで「重すぎた」と語るほど1曲1曲の密度が非常に濃く、捨て曲が無いと言うにふさわしい渾身のナンバーが詰め込まれている。
オルゴールのようなイントロにオクターブでハモる斬新なボーカルが乗る録音芸術レベルの名曲「Lightning」や、Radiohead的コードアプローチからサビでは疾走感が加わる「Black Hole」など、ロックナンバーからバラードまで不足なく網羅した傑作。テナー初心者に勧めて何の問題もありません。
・CREATURES (2010年03月03日 EMIミュージック・ジャパン)

全曲シングル級だった前作を踏まえ、アルバムらしい遊び心を取り入れようと意識して作ったと語っている今作。
ポップ色とロック色が後退し、ジャズやAORの要素を取り入れた渋めな作品。ラストの「瞬きをしない猫」以外はミドル~スロー系の曲が並ぶ。
妖しげなイントロから後半の爆発がカタルシスを生む「Man-like Creatures」は、この時期のテナーを象徴する攻めの1曲。これをシングルでリリースできる時代、良かった。
リリース当初は結構賛否が分かれる作品だったが、時が経つにつれて評価が上がっており本作を一番好きと言うファンもかなり多い。ただ初心者にはお勧めしないです。
・STRAIGHTENER (2011年08月03日 EMIミュージック・ジャパン)

7枚目にしてセルフタイトルを冠した本作は、前作とは対称的にテナー史上最もロックなアルバムと銘打ったアグレッシブな作品。
楽器の音色もメタリックで硬質な音で統一され、手数も多くバンド好き男子には堪らないアルバムだと思います。
打ち込みと生バンドを組み合わせテナー流クラブミュージックに昇華した「VANDALISM -Prototype-」や、強力なベースリフから始まるテクニカルな「KINGMAKER」などライブで聴けると嬉しいロックナンバーが揃っている。
当時の邦楽ロック全体がJ-POPとの差別化を意識していたのもあって、"分かりやすいサビを使わず如何にカッコいい曲を作れるか"という野心がこの頃のテナーにはあったと思う。
・Resplendent (2013年09月11日 EMI Records Japan)

ドラマ主題歌となったシングル「From Noon Till Dawn」のヒットや初のベストアルバムのリリースなど転換期のような期間を経てリリースされたミニアルバム。
5曲と少ないボリュームながら、うち3曲がタイアップを獲得するなど外向きの評価も上がってきた時期の重要な作品。
楽曲自体はロック色強めだが、音色がソフトになり現在のストレイテナーの音に近づいた気がする。
全曲粒揃いなので通して聴くべし。この頃のアー写いいよね。
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前編はここまでとなります。後編もお楽しみに。
2024年下半期の良かったアルバムを紹介するよ 【邦楽6選・洋楽6選】
おはようございます。今年もあっという間に終わってしまいましたが、半期に一度のベストアルバム記事でございます。
新しい音楽にあまり出会えなかった方にも、マウントとれるぐらい聴きまくった方も、等しく幸せになれる記事を目指して書きました。
2024年の上半期編は別の記事でまとめていますので、見ていない方は下記リンクから見てくださると嬉しいです。
OGRE YOU ASSHOLE / 自然とコンピューター
2001年結成の長野発オルタナティブバンド、OGRE YOU ASSHOLEの約5年ぶりとなるアルバム。
後期ゆらゆら帝国や坂本慎太郎のソロワークからの影響を強く受けたサイケ路線に移行して6作ほどアルバムを出してきた彼らですが、本作ではサイケデリックなギターが影を潜め、アナログシンセの音色やカッティングギターを多用したダンサブルでミニマルな音楽性にシフトしている。
昨年リリースした4曲入りEPのリード曲をリアレンジしたM-7「家の外 (Alternative ver.)」や、シンセベースと無機質なパーカッションが陶酔感を誘うM-4「君よりも君らしい」など上質で不気味な世界に浸ることができます。
toe / NOW I SEE THE LIGHT
日本のポストロック、インストバンド界隈を牽引するtoeの約8年ぶりとなる待望の新作。
メンバー個々の活動や、EPやシングルでのリリースをマイペースに行ってきた彼等ですが、相変わらずのハイセンスな音遣いと引き出しの多さに圧倒される1枚。
MVも作られたリードトラックのM-2「LONELINESS WILL SHINE」は、繊細で美しいアコギのストロークに、優しくも力強いバンドサウンドが乗る切ない楽曲。散文的なリリックを曖昧な発音で歌うボーカルもポストロック的で良い。
超絶テクや変拍子に頼らずシンプルなアンサンブルで良い曲を奏でることに徹底するtoeならではのアプローチが光る良作でした。
トクマルシューゴ / Song Symbiosis
様々な楽器や日用品を用いて音楽を奏でる独自のスタイルで海外でも活躍するトクマルシューゴ氏。
そんな彼の8年ぶりとなる待望の新作は、歌をテーマに作られた全18曲入りの大作となっており、トクマルシューゴらしいキャッチーで楽しい楽曲に加えて、世界各国の童歌や子守唄をトクマルシューゴ流にアレンジしたスキット的な楽曲が散りばめられている。
2020年にリリースしていたM-7「Sakiyo No Furiko」や、7/8拍子のリズムと掛け合いのようなサビが印象的なM-2「Counting Dog」辺りが特にハイライト。
人気アニメ「ちいかわ」の音楽を手掛けていたり、様々な媒体でその手腕を発揮している彼の本業を是非刮目してほしい。
リーガルリリー / kirin
2014年に結成されたバンド、リーガルリリーのメジャー3枚目となるアルバム。
今年はアニメタイアップやTHE FIRST TAKEへの出演など精力的に活動していた事もあり、アルバムにも気合いが入っているように思えました。
中でもM-8「ムーンライトリバース」は、力強いボーカルと鬼気迫る演奏で恋愛の根源的な感情を歌う名曲で、杉咲花さんが出演するMVも非常に良かったです。個人的に今年ナンバーワンの曲でした。
他の曲も全曲シングルレベルでキャッチーなナンバーが並んでいて非常に聴きやすいと思います。自分の好みとしてはもっと変な曲や地味な曲が1,2曲入っていれば完璧でした。
THE SPELLBOUND / Voyager
BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之とTHE NOVEMBERSのボーカル小林祐介によって結成されたロックバンドの2作目となるアルバム。
バンドサウンドと打ち込みを巧みに使い分けながら、伸びやかなハイトーンボイスを活かした心地よいメロディが持ち味だ。
ファーストアルバムよりも圧倒的に歌い手とプロデューサーとしての関係性が嚙み合っているように感じ、全14曲と大ボリュームながら全くダレることなく最後まで聴くことができる。先行シングルとしてリリースされたM-2「Unknown」は、ポエトリーと歌唱の中間のような高速で力強いボーカルが楽しめる爽快なナンバー。ブンブンサテライツの「DRAIN」を彷彿とさせるMVも最高でした。
Perfume / ネビュラロマンス 前篇
中田ヤスタカ全面プロデュースによるテクノポップアイドルPerfumeの8作目となるアルバム。
メジャーデビュー20周年を記念した本作は、タイトルの通りコンセプトアルバムとなっており、"架空のSF映画のサントラ"というコンセプトのもと制作されている。
ここ数年のEDM路線から打って変わってレトロフューチャーな世界観に徹底しており、初期のPerfume好きには堪らないキャッチーな楽曲が詰まっています。
莫大な予算と時間をかけて制作されたMVも話題となったM-3「Cosmic Treat」や、ラストを飾るM-10「メビウス」など、コンセプトに忠実でありながら粒ぞろいの楽曲群。最近あまり聴かなくなった人にこそお勧めしたい。
Tyler, The Creator / CHROMAKOPIA
ヒップホップのフィールドに居ながら、様々なジャンルの音楽を取り入れ独自の音楽を生み出すラッパー/ソングライター、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)の7作目となるアルバム。
彼の代名詞となった2019年リリースのアルバム「IGOR」辺りから、飄々とコンスタントに傑作を出し続ける存在になっている気がする。もはや安心感すらある。
とはいえやはりトラックを1秒流した瞬間の明らかな異質さ、リリックのキレ、ふざけているのかいないのかギリギリでかわされる感覚はやはり他では味わえない。
民族的なリズムにジャズピアノが重なったと思えばブツ切りの連続でいきなり不意を突かれまくるM-1「St. Chroma」から、シームレスに謎の低音が鳴り続けるトラップビートM-2「Rah Tah Tah」へと続く幕開けはカオスそのもの。しかし最後まで聴いたあとには謎の感動すら覚えさせられる。悔しい。
Fontaines D.C. / Romance
アイルランド出身のロックバンド、Fontaines D.C.の3枚目となるアルバム。
同世代のUKロックバンドとは一線を画す深刻でシリアスな詞世界と、ポストパンクに影響を受けたダウナーなサウンドで異彩を放つ彼らの新作は、初期衝動のような荒々しさは影を潜め、より洗練されたサウンドと狂気を共存させた転換期のような作風といえる。
リードトラックであるM-2「Starburster」は、不穏なコード感と尻上がりに加速する展開がスリリングなロックナンバー。中盤は比較的スローなナンバーが続くが、ラストを飾る大名曲M-11「Favourite」で大団円を迎える構成は圧巻。Fontaines D.C.の中でも一際ポップで優しいメロディの曲ですが、この曲だけでも聴く価値アリ。
The Smile / Cutouts
Radioheadのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッド率いる新人ロックバンド、The Smileの今年2枚目となる3作目のアルバム。
前の2作に比べてアグレッシブで音数も多く、マスロック好きには間違いなく刺さる作品。特にリードトラックのM-3「Zero Sum」は性急で軽快なギターリフから始まるオルタナロック。めちゃくちゃカッコいい。これがRadioheadの新曲としてリリースされてたらどんな騒ぎになってただろうと想像してしまう。
今年リリースされたもう1方のアルバム「Wall of Eyes」も素晴らしく、こちらは後期Radioheadのイメージに近い重厚なアンサンブルを楽しめる。
Kelly Lee Owens / Dreamstate
ウェールズ出身のエレクトロニック・ミュージシャン兼プロデューサー、Kelly Lee Owensの4作目となるアルバム。
The 1975などの人気アーティストが所属するレーベル"DIRTY HIT"の傘下レーベルである"dh2"からのリリースとなった本作は、過去の作品に漂っていた浮遊感や静謐さを纏いつつ、大きくダンスミュージックに振り切ったアッパーな楽曲が並んでいる。
自身に宿る強さや狂気を歌詞に昇華させたM-3「Love You Got」や、ドリーミーで開放感に満ちたM-7「Sunshine」辺りは特にハイライト。
各方面で高い評価を得たアルバム「Inner Songs」から大きくシフトチェンジしたにも関わらず、安定したクオリティでファンを裏切らない作品を出す彼女の才能に惚れ惚れしました。
Ginger Root / SHINBANGUMI
カリフォルニア出身のキャメロン・ルーによるプロジェクト、Ginger Root。
日本のレトロカルチャーをこよなく愛する彼の久々となるフルアルバムは、架空の"新番組"をテーマに奔走するコンセプトアルバムとなっています。
Vaporwaveやフューチャーファンクとキャッチーなメロディが融合したオリジナルな音楽は健在で、M-2「No Problems」のような王道ポップスから、M-8「Kaze」の日本語詞を用いたアコースティックなアプローチまで幅広く押さえた作品となっています。
コンセプトの面白さに頼っている訳でもなく、あくまでソングライティングの良さを1番に感じることが出来る稀有なアーティストだと思っています。
Fievel is Glauque / Rong Weicknes
マルチ楽器奏者のザック・フィリップスと歌手のマ・クレメントからなるジャズポップデュオ、Fievel is Glauqueの2枚目のアルバム。今年知ったばかりの無名なアーティストですが、個人的に今年1番の掘り出し物でした。
ジャズのコード感を基調にしながらも、フレンチポップや渋谷系を想起させるメロディーワークで上手いことポップスに仕上げている。
スコットランドのギターポップバンドCamera Obscuraを彷彿とさせる上質なストリングスとバンドサウンドが合わさったM-2「As Above So Below」は、本作の中でも一際聴きやすく出来の良い1曲。アルバム全体を聴いていくと、インディーバンドならではの粗削りさも垣間見えるのが良い。
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最後に2024年の個人的ベストトラックを、上半期も合わせて全100曲にまとめたプレイリストを作成しました。
邦楽50曲/洋楽50曲ずつ選曲し順番は適当に並べてます。
今年も相変わらず音楽を愛しながら生きながらえた1年でした。このブログが皆様の好きな音楽と出会うきっかけになれば、それ以上の幸せはないです。
それでは、よいお年を!
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土居泰地の2024 年間ベストトラック - Apple Music
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2024年上半期の良かったアルバムを紹介するよ 【邦楽6選・洋楽6選】
皆さんごきげんよう。
2024年もあっという間に半分終わり、今年も音楽しか娯楽のない生活を続けてしまいました。
毎年恒例のブログでの名曲紹介も5年目を迎えましたが、相変わらず音楽オタク全開のチョイスで恐縮ですが、宜しくお願い致します。
ZAZEN BOYS / らんど
ご存知、元ナンバーガールの向井秀徳率いる4人組ロックバンドZAZEN BOYSの約12年ぶりとなる待望の新作。
前作「すとーりーず」のリリースから今作の発表に至るまでは、前任ベーシスト吉田一郎の脱退やナンバーガール再結成など様々なビッグトピックがあった向井秀徳だが、今作にはそんな人生の機微を巻き込んで"漂着"したと言える無機質で達観した音を感じられる作品となっている。
2008年の「ZAZEN BOYS 4」辺りから多用されてきたシンセサイザーを今作では一切使わず、ギター2本とベース、ドラムによるグルーヴをこれでもかと聴かせるアルバムとなっている。
M-10「永遠少女」で描かれる、あまりにもグロテスクでリアルな原爆の凄惨な物語は、現代の大衆音楽において目を背けられてきたテーマに真っ向から挑む向井秀徳のストイシズムをひしひしと感じる。
柴田聡子 / Your Favorite Things
北海道出身のシンガーソングライター、柴田聡子の通算7作目となるフルアルバム。
大反響を及ぼした前作「ぼちぼち銀河」から1年9ヶ月ぶりと思ったより早いスパンでのリリースとなった。
今作も柴田聡子の独創的な歌詞とサウンドは健在ながらも、これまでの作品に比べて非常に「音」にフォーカスした曲が多く収録されているのが特徴。
Wayes BloodやFaye WebsterなどのアメリカSSWサウンドに影響を受けたと思われる耽美で緩やかなM-1「Movie Light」での幕開けから、これまでとは異なるアプローチであることが分かる。
しかしながら、通して聴くと柴田聡子らしい難解なのに共感できる歌詞もしっかりあって、個人的にM-9「Reebok」の、"きみが笑えば笑うような つまらない私でいさせて"というフレーズはとても好き。
離婚伝説 / 離婚伝説
2022年に結成された音楽ユニット、離婚伝説の1st。
初の公式音源「愛が一層メロウ」がJ-WAVEなどでプッシュされ、瞬く間にその名を広めた彼らだが、本作は現時点での集大成と言えるシングルを多く収録したアルバムとなっている。
Suchmosから流れるブラックミュージックやシティポップの流れにありながら、90年代J-POPのような煌びやかで少しダサい王道感を意図的に感じさせるアレンジが融合した、ありそうでなかったバランス感覚のグループという印象。
彼らがコンセプトとして明言している"ダサさ"の部分がとても好きで、M-5「萌」などに見られる少し浮足立った世界観なんかは、狙いすぎると現代に馴染まない絶妙な塩梅が必要なので、ちゃんと今のポップスに仕上げているのが凄いと思います。
個人的に曲名も凄くツボというか、昔の洋楽に無理矢理つけた邦題みたいなダサさがあって、多分そこも狙ってるんだろうなと思います。
BREIMEN / AVEANTIN
2015年に前身バンド「無礼メン」を結成し、2020年に現在の編成となったBREIMEN。
4枚目のアルバムとなる今作は、メジャー移籍後初のリリースとなっていて、彼らのポップセンスと自由な音楽性が楽しめる作品となっている。
先行シングルM-2「ブレイクスルー」は、メジャーに行って"ブレイクする"という願掛けを込めたキャッチーなナンバー。
個人的に好きなのはM-8「寿限無」。16分ウラのテクニカルなキメに合わせて有名な落語"寿限無"を唱えるという、バカテクとユーモアの融合が楽しい一曲。
安易な"お洒落"や"エモい"みたいな括りに収まることなく、変態的な個性をずっと大事にしているバンドだと思います。
2015年にヒップホップクルーとして結成された3人組、Dos Monos。
昨年をもって"第一期"を終了し、"第二期"のスタートを突如宣言し、バンド形態での活動にシフトすることが発表された。
突然の発表に戸惑いもあったが、本作を聴いてその戸惑いは無くなりました。
ヒップホップ期の過激さはそのままに、いわゆるロックバンドの音という枠組みから大きくはみ出した革新的なサウンドに溢れており、本格的な高みに到達した作品となっている。
リードトラックであるM-2「MOUNTAIN D」はもちろん、"NewJeansおじさん"といった直近のトレンドワードも飛び出すM-7「KIDS」など聴きどころ満載。
角銅真実 / Contact
長崎県出身のシンガーソングライター、角銅真実の4作目となるアルバム。
cero、古川麦、Doppelzimmer、野田薫などのサポートミュージシャンとしても活躍する彼女だが、前作「oar」で音楽雑誌から軒並み高い評価を得るなど、自身の創作活動も積極的に行っている。
前作から4年ぶりとなる今作は、ジャズ、民謡、環境音楽あたりの要素を前面に引き出した独自性の高い楽曲が収められている。
水の中に顔を入れる音から始まるM-1「i o e o」から一気にその世界に引き込まれ、静謐で緻密な音像に没入できる。
ハイライトとなるM-10「Carta de Obon」は、日本の原風景を思わせる写実的な歌詞とプリミティブな楽器のアンサンブルが壮大で叙情的な楽曲。
賑やかな音楽が苦手な方には是非オススメしたい素敵なアーティストです。
Vampire Weekend / Only God Was Above Us
2006年に結成されたアメリカのバンド、Vampire Weekendの5年ぶり5作目となるアルバム。
音楽性を大きく拡張した前作「Father of the Bride」の成功を受け、バンドとしての貫禄みたいなものが付いた彼らの待望の新作は、期待を大きく上回る大傑作でした。
1stや2ndで見せた軽やかでポップなバンドサウンドと、前作で見せたシリアスで緊迫したサウンドメイキングのいいとこ取りをしたようなM-1「Ice Cream Piano」から圧巻のスタートを切る。
M-3「Capricorn」の空を切るようなストリングスとバンドサウンドの融合は、後にも先にも聴いたことのない発明のような景色を見せていて、バンドとしての強度とフロントマンのエズラの探究心の深さを見せつけられるようなアルバムでした。
Waxahatchee / Tigers Blood
アメリカのシンガーソングライター、Waxahatchee(ワクサハッチー)による6作目のアルバム。
前作「Saint Cloud」がUSインディー界隈で非常に高い評価を受け、日本でも話題となった。
今作はそんな前作の延長といえる作風で、ジャケットからも関連性を感じる。
彼女の持ち味であるインディー・ロックとカントリーの融合という旨みを存分に活かしながら、より叙情的でノスタルジーを掻き立てられるような色彩豊かな楽曲が増えた印象のアルバム。
アメリカの若手シンガーMJ Lendermanを起用したM-4「Right Back To It」は、日本人にも馴染みやすい美しいメロディーと2人のハーモニーが光るハイライト。
いわゆる"美メロ"が好きな自分にとってはたまらないアーティストなんです。前作「Saint Cloud」を聞いてない方は、そちらも是非聴いてほしい。
AURORA / What Happened To The Heart?
ノルウェー出身のシンガー、AURORAの4作目となるアルバム。
2013年に17歳という若さでデビューし、まだ二十代でありながら圧倒的な風格を漂わせる彼女。
ジャンルとしては比較的ポップスの文脈で語られる事が多いが、今作はそんなイメージを覆すクリエイティブな作品となっている。
同じく北欧出身のビッグネームBjorkとの関連性も感じられる歌唱とビートの強いエレクトロサウンドが融合した先行シングル「Your Blood」や、野性的なパーカッションから始まり血湧き肉躍る感覚を覚えるM-13「Starvation」など、とにかく強度の高い圧巻のポップセンスをお見舞いさせられるような作品でした。
St. Vincent / All Born Screaming
Annie Erin Clarkのソロ・プロジェクトとして知られる、St.Vincent(セイント・ヴィンセント)の8作目となるアルバム。
2017年にリリースしたアルバム「Masseducation」がグラミー賞にノミネートされるなど、アーティストとしての評価はお墨付きの彼女。
前作から3年ぶりとなる今作は、実験的なサウンドメイキングが光る自由度の高い作品となった。
地を這うようなベースのうねりが気持ち良いM-3「Broken Man」や、今作の中ではストレートに聴こえるがクセの強いロックナンバーM-4「Flea」など、良い意味でガッチガチに作り込んでない自由なサウンドが特徴のアルバムとなっている。
最初に聴くアルバムとしては正直オススメしづらいが、彼女の型破りなソングライティングを存分に味わえる傑作。
Yard Act / Where's My Utopia?
2019年に結成されたイギリスのオルタナティブロックバンド、Yard Actの2ndアルバム。
デビューアルバム「The Overload」が大きな話題となり、約2年ぶりとなる今作は更に音楽性を拡張した深みのあるアルバムとなった。
彼らの持ち味であるダンス・ロックとシニカルな毒のある歌詞は健在ながらも、2020年代UKインディーシーンの流れを汲んだ実験性を取り込む意欲的な作品。
真骨頂ともいえるM-6「Dream Job」は、前半のサビでギターリフだったメロが最後のサビでは歌メロに変わるギミックが斬新でカッコいい。
UKロックシーンが今異常な盛り上がりを見せる中、飄々とダンスロックを鳴らす佇まいも彼らの魅力だと思います。
The Last Dinner Party / Prelude to Ecstasy
今回紹介する中では最も若い新人アーティスト枠ともいえるのがこちら。
2021年にイギリス・ロンドンで結成された女性ロックバンド、The Last Dinner Partyのデビューアルバム。
昨年の4月にユニバーサルから初音源「Nothing Matters」をリリースするや否や、瞬く間に注目を集めた彼女ら。
本作までにリリースされた3曲のシングルはどれもヒットを飛ばし、満を持してのアルバムリリースとなった。
グラム・ロックの流れを汲みつつも、クラシックの影響を感じる劇的でドラマチックな曲展開と、それを物にする彼女らの演奏テクニックは明らかに素人離れしていて、売れるべくして売れたバンドと言えるだろう。
昨年、私のベストトラックにも選んだM-9「My Lady Of Mercy」や、M-3「Caesar on A TV Screen」など、中弛みする事なく盤石の完成度を誇るマスターピース的なアルバム。
今年のフジロックにも出演が決まっており、これから更に大きくなる事が予想できるバンドです。
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最後に、今回紹介したアルバムに加え2024年上半期のベストトラックを50曲選んでプレイリストにまとめましたので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。
それでは、下半期にまたお会いしましょう。
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土居泰地の2024 上半期ベストトラック - Apple Music
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2023年下半期の良かったアルバムを紹介するよ 【邦楽6選・洋楽6選】
おはようございます。2023年もあっという間に終わりを迎えようとしています。
今年は自分の音楽活動に勤しんでいた事もあって新譜を追えていない時期もありましたが、最終的にはたくさんの名盤に出会えました。
今回も国内と国外6枚ずつ紹介していきます。チェケラー!
GRAPEVINE / Almost there
1993年結成のベテランロックバンド、GRAPEVINEの通算17作目となるフルアルバム。
前作「新しい果実」から約2年半ぶりとなる今作は、前作で獲得した確固たる独自性を踏襲しながらも更にアップデートされた強烈な個性を放つ11曲を収録。
メンバー全員が曲を書いたり、バンドセッションによる曲作りを行ったりと流動的な作曲スタイルを続けてきた彼らだが、今作では田中和将(Vo./Gt.)と亀井亨(Dr.)の2人がヒロトとマーシーのように半分ずつ曲を持ち寄って完成させている。田中の作るトリッキーな楽曲と亀井の作るお得意の美メロソングがバランスよく入っていて、これまでにないバラエティ豊かなアルバムとなった。
最初の先行シングルとして公開されたM-2「雀の子」は、ここ数年で作曲面でもメインを張るようになったボーカル田中によるカオスで意表を突くスリリングな展開の楽曲。
今作のアレンジは外部プロデューサーではなく、20年近く固定サポートを務める高野勲(Key.)が担当しており、亀井作曲のM-5「実はもう熟れ」等のシンセ主体の楽曲は特に聴き応えのあるアレンジとなっている。
結成三十年にして、この鮮度とクオリティを維持できるのは並の事ではないと思います。恐るべし。
くるり / 感覚は道標
こちらもベテランといえるオルタナティヴロックの金字塔バンド・くるりの新作。
リリース前から発表されていた通り、くるりの創設メンバーであり2002年に脱退した森信行(Dr.)を迎え制作されたアルバムであり、まさかの復帰にファンを驚かせた。
筆者も非常に期待しつつ、まあ岸田の事だから初期の音楽性に寄せた作品にはしないだろうと思っていて、概ねその予想は当たっていました。
先行シングルの「In Your Life」はUKインディーロック調のサウンドと切ないメロディラインの"くるり節"全開なロックナンバーだが、その一方でアルバム曲はかなり遊び心に満ちた楽曲が多い印象。
個人的なお気に入りはラストを飾るM-13「aleha」。発売前からライブで披露されていたバラードナンバーで、遠い未来に対する希望と恐怖を綴った歌詞とアコースティックなサウンドで心地良いエンディングを迎える。
オリジナルメンバー3人の絶妙な距離感だったり、照れ隠しのような悪ふざけと少しの本気が垣間見える秀逸な作品。
秋山璃月 / サルライター
2000年生まれの新人シンガーソングライター、秋山璃月のファーストフルアルバム。
10代限定のアマチュアコンテスト「未確認フェスティバル」で17才の時にグランプリを獲得し、その後バンド編成でのライブ活動やMV制作などの活動を経て、満を持して今作のリリースとなった。
彼の存在を知ったのは、11月に公開された今作のリード曲「リアリティとは?」のMVを見たことがきっかけでしたが、ファーストインパクトで完全に持っていかれました。彼は紛れもなく天才です。
作曲演奏ミックス作業をすべて1人で行う所謂"宅録"で作られた今作は、2000年以降のオルタナティヴロックに見られる性急な歌い回しや細かい譜割りに、フリッパーズ・ギターなどの渋谷系を思わせるキュートな音色をブレンドしたような全く新しい音楽性を確立させている。
2023年末の時点で3000回程の再生回数ではあるが、どこかで火が付けば大絶賛されるポテンシャルがあると思います。売れろ〜!
TESTSET / 1STST
ソロミュージシャンとしても活躍するLEO今井、砂原良徳の2人が中心となって結成されたバンド、TESTSETのファーストアルバム。
2014年にYMOの高橋幸宏らを中心に結成されたMETAFIVEが今年事実上の活動終了となってしまいショックだったが、程なくしてTESTSETの結成とアルバムが発表され、個人的にも嬉しかったです。
ダンサブルなニューウェーブロックM-2「Moneyman」はもちろん、New OrderやCabaret Voltaireといったポストパンクを含む80年代ニューウェーブの影響を強く感じるM-7「Over Yourself」など、硬派できめ細かい電子音と生楽器のアンサンブルが気持ちいい。
ギターは相対性理論の永井聖一、ドラムはGREAT3の白根賢一という異色の組み合わせだが、一流ミュージシャンの集まりともあって互いに打ち消しあう事なく見事に調和し合っている。
今年惜しまれつつこの世を去った高橋幸宏の意思を受け継いだ素晴らしい作品でした。
家主 / 石のような自由
2013年に田中ヤコブを中心に結成されたロックバンド、家主の3枚目となるフルアルバム。
野良の音楽好きだけでなく数々のミュージシャンから大絶賛された前作「DOOM」から約二年ぶりとなる今作は、ベテランの風格すら漂う安定感と確立された家主サウンドが遺憾なく発揮されている。
田中ヤコブの書く感傷的で共感を誘うM-2「きかいにおまかせ」やM-8「耐えることに慣れ過ぎている!」は今作もアルバムの核をきっちり担っている。
それだけでなく、リードギターの谷江俊岳によるハイファイな異色ナンバーM-3「庭と雨」や、ベースの田中悠平によるストレートなロックバラードM-7「オープンエンド」など、フロント三人それぞれが曲を書きリードボーカルを務めるスタイルも家主の良さとなっていて、今作はそれらの個性がより際立っていて面白かった。曲数のバランスもちょうど良く、つくづく全てにおいてセンスが良いバンドだなと思わされる。
現役オルタナロックの中でもトップクラスに好きなバンドなので、末永く続けて欲しい。ライブも行こう。
Lamp / 一夜のペーソス
2000年に結成された3人組音楽ユニット、Lampの5年ぶり9作目となるアルバム。
大掛かりな宣伝やライブ活動をあまりやらずにマイペースな活動を続けていた彼らだが、海外から火が付いた日本のシティポップブームの影響により多くのリスナーに発見され、ここ数年で一気に知名度を上げた。
そんな予想外の現象を経て満を持してリリースされた今作は、全20曲収録時間70分超えの大作となった。
大きく前半と後半の2部構成となっており、前半はスタンダードなLampの新曲が中心で後半は組曲のような流れを意識した構成となっている。
一見するとサラッと聴き流してしまえる良質なポップソングだが、1曲1曲の音の配置や音色のこだわりは凄まじく、特に後半ブロックのサウンドスケープは圧巻。
ライブ活動を殆どしない彼らにとってレコーディングが活動のメインだとインタビューでも度々語っているが、今作はその気概を痛いほど感じられる作品でした。
Blur / The Ballad Of Darren
ブリッドポップを代表するイギリスの大御所バンド、Blurの約8年ぶりの新作。
2015年に復帰作となる「The Magic Whip」をリリースするも、バンドとしての活動は近年殆ど無かったので突然のリリースにファンは大歓喜。筆者もその一人です。
今年の2月にはデーモン・アルバーン(Vo./Gt.)のサイドプロジェクトでもあるGorillazの新譜もリリースされたが、その反動からなのかGorillazのヒップホップ的アプローチとは掛け離れたシンプルなバンドサウンドが聴けるアルバムとなっている。
先行シングルとして配信されたM-7「The Narcissist」は、Blurにありそうでなかったエモーショナルで切ないメロディラインの名曲。個人的にはデラックス盤に収録されている新曲「The Rabbi」のようなポップな曲も非常に好きでした。
前作のような実験的な瞬間も所々には見られるが基本的にはシンプルにメロディと歌詞をじっくり聴かせるタイプの作品。地味と言えば地味だが、個人的にはこういうの待ってた!って感じで好きでした。デーモンは生粋のメロディーメーカーだと思っているので。
Sampha / Lahai
イギリスロンドン出身のシンガーソングライター、Samphaの7年ぶりの新作。
上半期でも少し触れましたが、今年は7,8年ぶり級の待望の新作が本当に多かった年でした。そんな中でもかなり度肝を抜かれたのがコレ。
エレクトロソウルとも呼ぶべき独自のサウンドメイキングでデビューアルバムから相当高い評価を受けた彼だったが、そんな前作とも全く異なるフェーズに居るような衝撃的な内容。
M-1「Stereo Color Sound」の、鍵盤とドラムが爆速で絡み合うイントロから既にハイライト級のインパクトを放つ。続くM-2「Spirit 2.0」にも見られるジャズの要素とR&B歌唱が見事に調和し、既存の型にハマらない全く新しい音楽を提示している。
それでいて歌メロの旨味も損なわれておらず耳馴染みも良く非常に完成度が高いアルバムでした。個人的年間ベストを選ぶとすればこのアルバムかな。
Yussef Dayes / Black Classical Music
UKジャズムーブメントの先駆者とも言われるドラマー/マルチ・インストゥルメンタリスト、ユセフ・デイズのソロ名義では初となるアルバム。
2020年のトム・ミッシュとのコラボ・アルバム『What Kinda Music』が大きな話題となり、後のEzra Collective等のUKジャズムーブメントをより活発にした立役者でもある彼の新作は、全19曲の大作。
盟友トム・ミッシュや、世界各国のジャズプレイヤー、名だたるソウルシンガーに家族までフィーチャリングした豪華すぎる内容で、通して聴くと贅沢なワンマンライブを見ているような満足感が得られる。
一口にジャズといえども、根底にあるのはダンスだったりキャッチーさに振り切った作風と言えるので、ジャズに抵抗のある方も気軽に楽しめると思います。
海外版THE FIRST TAKEとも言えるYouTubeコンテンツ"A COLORS SHOW"にて披露されたM-10「Chasing The Drums」のパフォーマンスも圧巻。
Wilco / Cousin
GRAPEVINEのメンバーも敬愛するアメリカのロックバンドWilcoの13作目となるアルバム。
2枚組の超大作となった「The Cruel Country」からわずか1年でリリースされた本作は、自身もミュージシャンとしても活躍するケイト・ル・ボンをプロデューサーに迎え制作された。
前作がシンプルに良い曲を詰め込んだ作品集のようなアルバムだったのに対し、全10曲のコンパクトな構成の中で緩急のついたアルバムらしい仕上がりで個人的には好みでした。
M-4「Evicted」のようなWilcoらしい爽やかなカントリーロックはもちろん、後半のM-8「Pittsburgh」やラストのM-10「Meant to be」など荘厳で強靭なバンドサウンドも今までになくシリアスで手の込んだアレンジとなっている。
2024年には来日公演も決定しているWilco。これらの楽曲がライブでどう化けるか楽しみだ。
Blake Mills / Jelly Road
プロデューサーとしても数多くの名盤を手掛けるシンガーソングライター、Blake Millsのソロ5作目となるアルバム。
前作「Mutable Set」の実験的な音響と生楽器のアンサンブルが非常に素晴らしく、今作はその延長にありつつも目立った変化球は無く、よりソングライティングに重きを置いた作風となっている。
徐々に音数を増していくバンドサウンドに牧歌的な歌唱が乗るM-4「Skeleton is Walking」など、シンプルな中により巧妙に実験的要素を盛り込んだ職人技を堪能できる。
じっくり腰を据える必要もなく、穏やかに身を任せるように楽しめる1枚でした。年を取ったせいかこういうアルバムを聴きたくなる時が増えてきたなぁ。
Oscar Lang / Look Now
The 1975らを輩出する名門レーベル"DIRTY HIT"に所属するシンガーソングライター、Oscar Langの3作目となるアルバム。
ここ数年の筆者の年間ベスト記事で毎回DIRTY HITのアーティストを挙げている気もするが、もうしょうがないよね。好きなんだもん。
約2年ぶりの新作となる今作は、プロデューサーにコーラルやブロッサムズを手掛けたリッチ・ターヴェイを迎え、彼の持ち味であるフォーキーでサイケデリックな部分を活かした上質なポップスが収められている。
ブリッドポップの大名曲であるヴァーヴのBittersweet Symphonyを彷彿とさせるM-1「A Song About Me」や、6度の和音が鳴り続ける緊張感たっぷりのバラードM-9「Oh God」など、ギターだけでなくピアノも駆使し巧みなソングライティングと王道な声を持つボーカルが合わさる。
彼のルーツであるOasisやプログレ音楽の影響をうまくオリジナルに落とし込んでいて、良い意味で懐かしさも感じる安心感のある作品でした。
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最後に今年もApple Musicで、個人的年間ベストをまとめたプレイリストを作りました。
上半期も含めて国内と国外それぞれ50曲ずつ合計100曲の大ボリュームになっているので、通勤時間などにシャッフルで聴くことをお勧めします。
それでは、来年も皆様が良い音楽に巡り会える事を願ってます。良いお年を!
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土居泰地の2023 年間ベストトラック - Apple Music
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