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音楽好きによる音楽好きの為の雑記。

2021年上半期の良かったアルバムを紹介するよ【邦楽3選・洋楽3選】

 

皆様ごきげんよう。心もとない日々が続きますが楽しめていますでしょうか。

 

今回は相も変わらず音楽好きな筆者が、2021年上半期にリリースされた音楽の中で特に良かったアルバムを6枚紹介したいと思います。

色々紹介したい作品が多すぎたので、邦楽と洋楽それぞれ3枚ずつピックアップして残りはApple Musicの共有プレイリストで紹介させていただきます。

 

ちなみに2021年上半期最も美味しかった食べ物はセブンの揚げ鶏でした。

 

 

くるり / 天才の愛

 

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まずは、スタンダードな所から。

1996年結成、今年で結成25周年を迎えた重鎮バンド、くるりの13枚目のオリジナルアルバム。

昨年の後期から先行シングルを少しずつリリースしてのアルバムという流れだったので、何曲かは既知の状態で聴かせていただきました。

アルバム収録曲「益荒男さん」については、昨年このブログでレビューを書いてあるので、気になった方はこちらからどうぞ。

 

そしてこの「天才の愛」、言うまでもなく名盤。

くるりのアルバムと言えば、作品ごとにコンセプトが割とはっきりしていて、その度にレコーディング場所やメンバーを変えながら毎回違った作風のアルバムを出していますが、今作に関しては割とノーコンセプトでバラエティ豊かな曲が並んでいる印象。

過去作でいうと2009年のアルバム「魂のゆくえ」とかに近いのかな。

 

前作「ソングライン」とかに比べても肩の力が抜けた感じはあるが、細部の作り込みが凄くて「やっぱくるりはすげぇな~」と唸ってしまう抜群の安定感。

M-3「野球」なんて、ただ実在する野球選手を応援しているだけの歌詞なのに何故かちょっと感動しちゃうんだよな。俺ノムさんに特に何の思い入れも無い筈なのにな。

あと個人的に好きなのはM-9「渚」。後半にかけて変化球をバンバン投げてくるアルバムの流れから、この”いつものくるり”に戻ってくる感じも好き。そして何よりメロディが抒情的で切なくて最高。夏の野外フェスとかで聴きたい。涼しくなってきた夕暮れ時に聴いて「今年の夏も終わっちゃうなぁ」とか思いたい。

 

その他にもシンプルな良曲が沢山入っているので、ベストしか聴いてない方にもオススメのアルバムです。

 

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GRAPEVINE / 新しい果実

 

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1993年結成、今や重鎮の貫録を放つアラフィフバンドGRAPEVINE

前作「ALL THE LIGHT」から約2年半ぶりと、これまでで最長のインターバルを挟んでのリリースという事もあり、1曲ごとの密度が非常に濃く聴き応えのある10曲が並んでいます。

 

オープニングを飾るリード曲「ねずみ浄土」から、ネオソウル風のビートに日本語の言葉遊びをふんだんに散りばめた緊張感のあるグルーヴを響かせて、そこらの若手とは一味違うぞと言わんばかりの圧倒的なクオリティの楽曲をバンバン連打していきます。

 

ここ最近のGRAPEVINEのアルバムは、ジャムセッションから作った曲が数曲入っていたり、サポートメンバーを除いた3人だけで演奏したりと色々実験もしていた印象でしたが、今作はほとんどが田中さん(Vocal)と亀井さん(Drums)による楽曲で構成されていて、シンプルに良いメロディと良い歌詞を、良い演奏で堪能できるようなアルバム。

 

そして冒頭にも言った通り、本当に1曲辺りの密度が濃くて正に捨て曲無しといった感じのアルバムです。何というか、ファンとしては正直不安がよぎってしまったぐらい良いアルバムでした。これで終わっちゃうんじゃないかと思うぐらい、日本語ロックの一つの到達点とも言える領域に達してしまったような気がしました。

 

マジで聴いて損は無いです。これを機に、GRAPEVINEの沼にハマってみては。

 

 

New Fruit

New Fruit

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U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS / たのしみ

 

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インドの民族楽器「タブラ」の数少ない日本人奏者U-zhaan(ユザーン)と、ヒップホップシーンで活躍する環ROY鎮座DOPENESSの三人によるコラボレーションユニット。

ユニット自体は結構前から知っていて、M-1「七曜日」のMVが公開されてからもう4年も経ってますが、満を持しまくってようやく1枚目のアルバムをリリース。おめでたい。

 

そんな本作、前もってMVを観ている方はもちろん、全く知らない方にも躊躇なくオススメできるアルバムです。

鳴っている楽器は、ほぼタブラという打楽器のみ。それと二人のラップだけというシンプル過ぎる構成にも関わらず、全く飽きる事なく最後まで楽しめる内容。

日常のどうでもいいことをゆるーいテンションでラップする二人と、タブラのアンニュイな響きが相まって、何とも言えない脱力感と癒しに身を委ねられます。

 

 

何より、このフォーマットは過去どのアーティストもやってない全く新しい形なので、実はとんでもなく凄い所業を成し遂げているアルバムだと思うんです。

ゆるーく遊んでいるだけに見えるが、それぞれ三人が三様に膨大なバックグラウンドを持つアーティストだという事を、忘れてはならない。

 

 

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Porter Robinson / Nurture

 

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ここから洋楽。

アメリカ出身のDJ/トラックメイカであるPorter Robinson。1stアルバム「Worlds」から約7年のブランクを経てリリースされた今作。

筆者は今作で彼の存在を知って、ほぼ前情報無しでこのアルバムを聴いたんですが、正直びっくりするぐらい良いアルバムでした。

 

そういう訳もあって、このアルバムは何の前情報も無く聴いてもまったく心配無いぐらい手放しにオススメできる良作なのですが、少しだけ解説と推しポイントを書かせていただきます。

 

前述したように、1stアルバムから7年という長めのブランクについて、本人によると前作リリース後は数年に渡って鬱状態にあって曲作りの進まない状況にあったそうで、本作はその鬱状態からの解放と穏やかな希望に満ちた精神状態を反映させた音作りになっています。

 

そして本作の最大の特徴としては、洋楽には珍しいくらいメロディに特化したアルバムとなっていて、歌メロはもちろんピアノのフレーズやコード進行も非常にキャッチーで耳馴染みの良いチョイスに終始している印象。

個人的にこういう切なくて美しいメロディが3度のメシよりも好きなので、そういった方に是非聴いてもらいたい。

 

もう一つ推しポイントとしては、美しいだけじゃなくてちょっと鬱な部分も見え隠れするのが凄く魅力的。

全編通して声に若干くぐもったようなエフェクトがかかっていたり、所々にホワイトノイズが入っていたりと、美しさの中にちょっとした陰影を意図的につけているのが、より切なさを際立たせるアクセントになっています。

 

ちなみに全編通して男性の声と女性の声が入っていますが、どちらもポーター本人の声みたいです。ボイチェンすげぇ。

 

 

Nurture

Nurture

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black midi / Cavalcade

 

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続いてはUKロックバンド、black midiの新譜。

前作から約2年ぶり2枚目のフルアルバムという事で、バンド自体は活動歴がまだ浅めの彼ら。しかしながら、UKインディー界隈ではかなり話題になっているようです。

 

私も前作が出た時から存在は知っていて気になっていたんですが、今作のリード曲「John L」のMVを見てぶっ飛びました。こういうの待ってたんだよ。

プログレ、マスロック、ジャズ等の要素を取り入れた複雑で奇想天外な展開力で、1曲1曲が信じられないぐらい緻密に練られているアルバム。近年こぞって取り沙汰される”オシャレ”な音楽とは一線を画す、物理攻撃特化型のバンド。

 

こんなの偉そうに言えた口じゃないですが、ここ最近のバンドの中ではずば抜けて演奏が上手いと思います。マジでメンバー全員普段山で修行してんじゃないかってぐらい上手いです。

 

前作「Schlagenheim」よりもインパクトの強いキャッチーな楽曲が多く収録されているので、比較的ポップなリスナーにも届きやすいと思います。

あとこのアルバム、よく中期キングクリムゾンと比較して語られている事も多いみたいですが、個人的には要素が合致しているだけで全く独自の音楽性を確立していると思います。

 

一部の音楽好きの間では早くも今年のベストアルバムに挙げている方も結構いるようで、多分色んな所で語られる作品になるんだろうなと思ってます。最高だなぁ。

 

 

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underscores / fishmonger

 

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最後は少々マニアックな洋楽をご紹介。

NY在住のプロデューサー/トラックメーカーunderscoresの1stアルバム。インディーで活動しているクリエイターチーム「six impala」の一員でもあり、インディー界隈では注目されているらしいです。

色々調べたけど日本では無名すぎて詳しい情報があまり得られなかったので、めちゃくちゃ気になった方は翻訳とかして調べてください。

 

肝心の内容はというと、一言で現し難い複雑な音楽。ヒップホップ、グリッチ、ハードコア、ノイズといった幅広いジャンルを、きれいに混ぜるのではなく敢えて粗挽きな状態で盛り込んだ、非常に斬新な音楽性。

だけど軸足はしっかりポップに置いてあって、奇抜なだけじゃなくちゃんと美味しい部分も味わえる所が凄く魅力的。

 

アルバムを通して聴くと、そんな”ジャンルごった煮”感みたいなものをより楽しめると思います。全体的にダウナー打ち込み中心の曲が占めている中、中盤の「Spoiled little brat」では急に木村カエラみたいな王道ギターロック調になったり、終盤はシンプルな弾き語り調の曲もあったりと、これぞインディー!と言わんばかりの自由な発想と創作意欲がそのまま形になった様な作品です。

 

あとジャケがめっちゃ良いよね。楽しいけどちょっと不安になる作品の内容と完璧にマッチしている。

 

 

fishmonger

fishmonger

  • underscores
  • インディ・ポップ
  • ¥1528

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最後に、2021年上半期の個人的ベストトラックをまとめたプレイリストを貼っておきます。

ブログで紹介した作品を中心に、邦楽洋楽それぞれ20曲ずつ厳選しました。ディグりたい方は是非こちらも聴いてみてください。

 

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土居泰地の「2021上半期ベストトラック」をApple Musicで

 

 

 

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