しりとり名曲紹介 No.4 [蒼天ディライト / Wienners]
M-1グランプリ2018王者が決まりましたね。今年も面白かったなぁ。
やっぱり僕はキングオブコント2009で、東京03が圧倒的なネタを見せたあと、史上最高得点の950点台を叩き出した瞬間が、何度見てもドキドキします。
生放送の賞レースという、この上なく緊張した場面で、その場にいた200人強の大人が「ドヒャーー!!!」っていうんだよ。
ここはアメリカかと。
本当に面白い芸を見せられると、審査員が叩かれる余地すら無いんですよね。
チュートリアルがM-1で優勝した時も同じく、ぐうの音も出ない面白さ。
どのジャンルにしたって、芸事の天才には尊敬を通り越して、誇りすら感じるなぁと思う今日この頃。
普通ならこれで終わりだよね!
ごめんね!曲紹介やるね!!!ヨロレイヒ!!!
概要
・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。
・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。
・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。
(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。
蒼天ディライト / Wienners
4回目にして、初のアゲ曲。めでてぇ。
というわけでWiennersなんですが、個人的に本当に知名度が分からないバンドの一つで、Youtubeの再生数は安定して伸びるんだけど、私生活でWienners好きです!って人に会ったことがない。
あれだよね、このボーカルの人が、でんでんぱっしょん作った人ってのは、みんな知ってるんだよね…
僕はもう知ってる体で進めるよ!
他のネット記事とか至る所で、玉屋2060%は天才だと褒め称えられますが、これに関しては本当にその通りで、作曲やってる人なら”2060”という数字を見ると震え上がるぐらい、この人のセンスはホンモノ。
この曲なんか特に、聞いた瞬間に「あぁ~でんでんぱっしょん作った人と一緒なの分かる~」と僕の中のみちょぱが言うんですが、実はそれってめちゃくちゃすごい事で。
古くは小室哲哉から、中田ヤスタカや川谷絵音氏にも言える、「彼が作った曲は誰が歌ってても一発で分かる」あの現象。「節」というやつ。
複数のボーカルを使って、どちらかをハモりや合いの手みたいに使って、どちらかがメインのラインを歌う手法ではなく、長ーーい1本のメロディラインを隙間なく作っておいて、それを両方が矢継ぎ早に交互に歌うことで完成するような手法を用いているので、従来なら「これ息継ぎするポイントがないからボツやな」と捨てられるようなメロディも歌えるというわけですね。
マジで発明。
さらにWiennersをさらに深く聴くとこう思ってくる。
ジャンル何個入ってんの
何が凄いって、あらゆる音楽ジャンルを取り入れて、それをミックスした新しい音楽を作り上げてしまったこと。
初期のWiennersとか、玉屋さんが前に組んでいたSCHOOL YOUTHというバンドもそうだけど、元々はパンクバンドにニューウェーブとか渋谷系から派生したサンプリングを用いたプログレちっくな音楽をやってて、
1stミニアルバムのシャングリラという曲辺りから、中華風だったり和風だったり、エスニック系のメロディを取り入れるようになり、
この蒼天ディライト辺りから、ポップさを感じる派手なシンセ音も取り入れるようになり、
その後2014年に発売された「DIAMOND」というアルバムでは、その巡り巡ったルーツの全てがごった煮状態。聴いてるだけで世界が開けるような、完璧なアルバムを作っています。
ただその後、中心メンバーであった女性ボーカルMAXさんと、ドラムの脱退。1年ほど活動休止という事態に。
その後、その二人の溝を完璧に埋めるメンバーを入れて復活を遂げました。
冷静に考えてあんなめちゃくちゃな曲をほぼ全曲コピーできる女性ボーカルとドラムをもう一度探し当てたのは物凄い奇跡なので。
新体制になってワンマンも行きましたが、パワー衰えるどころか、増してた。
正直、メンバー脱退からちょっと離れちゃったっていうファンも中には居たと思うんだけど、まったくその心配は無いと思います。
地球の平和を取り締まる警備隊Wiennersを、皆さんどうか聴いてみてください。
次回は「と」から始まる名曲を紹介します!
しりとり名曲紹介 No.3 [素晴らしい嘘 / 古明地洋哉]
コーナーを始めて3週間経ちましたが、実は次の曲ももう決まっており、実の実はもっと先の曲まで決まってます。
どこまで続くのかは今のところ秘密ですが、
僕は好きな音楽の話をするポテンシャルの高さは国体級なので、ご心配なく。
概要
・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。
・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。
・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。
(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。
素晴らしい嘘 / 古明地洋哉
スペースシャワーTVのロゴが右上。ちなみに2004年以前はロゴが右上だそうです。
コメイジヒロヤと読みます。シンガーソングライター。
2001年にメジャーデビューし、何作かアルバムをリリースしています。現在は都内で弾き語りライブを定期的にやっています。
この曲が収録されているアルバムのタイトルは「孤独の音楽」。これが象徴するように、古明地さんの音楽はとにかく孤独。
心の闇を肯定する音楽が特徴です。
言い切ってしまうならば、暗い。
うん。。。
『鬱ロック』
‘00年代前半、この曲が出た時期がど真ん中だと思うんですが、「鬱ロック」という物騒なものが流行ったらしいのです。
そしておそらく、この言葉は今後のしりとり名曲紹介でも度々出る事になると思います。
知らない人は、覚えてね。
オイラはボイラ。
***
鬱ロックに当てはまるバンドといえば、Syrup16g、ART-SCHOOL、BURGER NUDSなど。
上の三つは、一つも知らないか、全部当たり前に知ってるか2極化するバンドたちだと思います。
古明地さんの音楽性は、このジャンルを好きな人には間違いなくドンピシャ。
だって再生1秒足らずでD#m。1番暗いコードを重たいギターとすきま風のような冷たい響きのストリングスでドジャーン!と鳴ってくる。
マイナーコード始まりの歌って最近めっきり減った気がしていて、フラカンの深夜高速やバックホーンのコバルトブルーのような重たい響きが好きな僕にとっては、久し振りに芯からヒットした曲でした。
加えて歌詞もすげえ。「もっとうまく話せたら 誰も泣かずに済んだだろうか」とか、雨に打たれながら作ったのかと思うぐらい。
とまあ、この曲の暗い部分を取り立てて紹介しましたが、それだけじゃなく単純にメロの精度が半端なく高いのです。
一回のサビの中で同じメロディを繰り返すことをリフレインといいますが、この曲のサビではほぼそれがなく、サビ全体で一つのくくりのような構成になっています。
サビのコード進行もそれに合わせて、繰り返しの無い多様な進行になっています。
ここが、ただ暗いだけじゃない、この曲の美しさ。
個人的には、まさにシングルの表題曲といった感じの、時間をかけて作っているのが伝わる傑作だと思います。
最後に、この曲をカラオケで歌いたいんだが入ってないのよ。
絶対歌ったら気持ちいいんだよ。
今回はここまで! 次回は、「そ」から始まる名曲を紹介していきます。
しりとり名曲紹介 No.2 [ダンス、ダンス、ダンス / People in the Box]
先日、久しぶりにIGZOLOGICの動画を見たらやっぱり凄いなぁと思った。
そしてあの動画が公開されて10年経ったそう。嘘でしょ。。まぢ無理。。
知らない方はIGZOLOGICで検索して見てほしいです。マジでしょうもないです。
概要
・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。
・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。
・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。
(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。
ダンス、ダンス、ダンス / People in the Box
2003年結成、残響レコードよりインディーズデビューした後、日本クラウンにてメジャーデビュー。今もメジャーに居る実力派バンド、People in the Box。
この曲は、2012年にリリースされた「Ave Materia」のリード曲です。
ピープルといえば我らが残響レコード全盛期にも、一番人気があったんじゃないかなぁ。僕はピープルが好きすぎて、高専生時代にコピーバンドを組んで、毎回ほぼ全曲違うセットリストで最終的に20曲ぐらいはコピーしたと思います。またやりたいなぁ。
そしてこのダンス、ダンス、ダンスですが、件のコピーバンドではやりませんでした。残念。
***
当時リアルタイムで追いかけていた体感としては、このアルバムの前作「Citizen Soul」あたりからピープルの表現のベクトルが変わってきた感じがあって、この「Ave Materia」は、今全作品を通して見ても、ちょっと浮いてるなぁと思っています。
このアルバムだけ、ほぼ全曲アコースティックギターの音色がメインで鳴っていて、意図的にほかの作品との差別化を図っていますよね。
先程言った、表現のベクトルの違いってのは、やっぱり歌詞の内容ですね。
初期のピープルは歌詞に独特の比喩が多く使われていて、どちらかと言うと詩的で物語のような表現が多かったのに対し、後期は何か波多野さんの憤りのような物をこちらに投げかけられているような感覚があって。
ダンス、ダンス、ダンスがこのアルバムのリード曲に選ばれたのも、そのメッセージ性に焦点を当てた結果選ばれたのかなぁとも思ったり。邪推。
「愛が全てというなら、汚れ一つ許せないね」という正論なんだか暴論なんだか分からん言葉をサビの頭に持ってきたり、哲学者の友達の話だけで2コーラス目を歌い切ったり、この曲は特に、波多野さんのパーソナルな部分が垣間見える、不思議な曲。
ちなみに、イントロから繰り返されるギターのリフは、ピアノで弾きながら作ったのだそう。彼はギターを何だと思ってるんだ。
このMVもべらぼうに完成度高いですよね。監督は加藤隆さんという方。伝説の「旧市街」や「ニムロッド」「気球」も手掛けているスーパーマン。
彼のツイッターを見るとハイセンスの権化すぎてめちゃくちゃ製作意欲を掻き立てられるので是非見てほしい。
今回はこの辺で。次回は「す」から始まる名曲を紹介いたします!
ありがとうございました。
しりとり名曲紹介 No.1 [REMINDER / ストレイテナー]
久し振りのブログ更新になりました。
単発記事はそこそこにあるんですが、ここ2週間ほどレコーディングをしていて、更新が空きましたがまだ飽きてないからな!
これからも地道にコツコツやっていきますので、よろしくお願いいたします。
***
というわけで、今日から新しく連載企画を始めたいと思います。やった!
タイトルの通り、邦楽オタクの僕が紹介したい名曲を、しりとりで繋いでいきながら一曲ずつ紹介していくという企画でございます。
単純に曲を紹介するだけでも良かったのですが、それだと踏ん切りがつかないというか、選択肢が多すぎてまごまごしてしまいそうだったのでこのような縛りプレイを楽しみながら続けていこうと思います。
目標は毎週水曜日に一曲ずつ紹介できたらいいなと思っています。あんまり期待しないでね。
記念すべき最初の一曲は、しりとりの「り」からスタートしましょう。
REMINDER / ストレイテナー
今年で結成20周年のバンド、ストレイテナーの2004年に発表された楽曲。
ミニアルバム「ROCK END ROLL」、アルバム「TITLE」そして後発のベストアルバムにも収録されていますね。
今年の10月に発売されたファン投票ベストアルバムには、ファン投票数1位で収録された、屈指の名曲というに相応しいナンバーです。
はい。そうですね。
僕がこの曲と出会ったのは中学2年生の頃だったと思うんですけど、1回目に聴いた時のジーンときた感覚は今でも覚えています。
ライブハウスやバンド仲間などから音楽的なルーツを聞かれたら間違いなくストレイテナーを挙げるほど、僕の中でストレイテナーは原点にして頂点。
ドラムを始めたきっかけはストレイテナーの「KILLER TUNE」のMVを見て俺にも頑張れば叩けるんじゃね?と思って動きを真似した所からなのです。
だから本当にストレイテナーとこの時出会っていなかったら人生変わっていたと思います。まあ音楽は好きだったから、きっとどこかのタイミングでは出会っているだろうけど。
ストレイテナーのいい所って、歌詞に力感がないというか、無理に伝えようとしないところがいいんですよね。
この曲は音楽に対する初期衝動のようなものをテーマにしているけれど、「あの時の衝動を忘れない~」とか歌うんじゃなくて、
「そこから何かが変わっていくだろう」というサビの1節で、勝手にそこに自己投影できる。曲の背景やドラマは自分で作れる。その優しさと信頼感が、ストレイテナーの魅力なんだと思います。
僕は今もバンドをやっている訳ですが、僕が中学の頃憧れて、そこから楽器を始めてバンドを始めるっていうストーリーが、まさにこのMVのストーリーそのままなんですよね。
いつかは僕も、このMVの最後のシーンのように、満員の観客の前でライブをしていたらいいなぁ。
なんていい話なんだろう。
自分勝手な思い出に浸ってしまいましたが、本当に名曲なので、知らない人は是非とも。聴いていただきたい。
長くなってしまいましたが、今回はこの辺で。
次回は「リマインダー」の「だ」から始まる曲だよ!お楽しみに!
ドキドキ!バンド名 or 小説のタイトルクイズ
皆さん、最近ドキドキしてますか。
僕はこの間コインランドリーに洗濯しに行こうと思って、止むを得ずノーパンで向かってたら履いていたズボンがめちゃくちゃズレそうになってずっとドキドキしてました。
そんなドキドキを味わいたい皆さん、ようやくこの日が来ましたね。
今日はクイズをします。
はーいみんな教科書しまってー!
今日はタイトルにある通り、
その単語が「実在するバンドの名前」か、「実在する小説のタイトル」かを考えていただきます。
まあ最近に限ったことではないですが、「神様、僕は気付いてしまった」「雨のパレード」等、ぱっと見バンド名と分かりづらいバンドが多いのはよく言われています。
そこで、僕は気付いてしまった。
この文章めいていて単語めいている感じ、正に小説のタイトルの雰囲気と似ていると。
神様、僕は気付いてしまったよ。
というわけで早速問題に参りましょう。
問題
上の画像の9つの単語は、バンド名と小説のタイトルが一緒くたになっています。
果たして、どれがバンド名で、どれが小説のタイトルでしょうか?
下にスクロールするとヒントと答えが出ます
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
ヒント: バンド名が4つ、小説のタイトルが5つ
えっ
もう答え見ちゃうんですか????
しょうがないなぁ〜
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
答え
見にくくてごめん!
解説していきます。
左上から
午前四時
これは最近のバンドではなく、1980年代初頭に都内で活躍したバンドだそうです。元祖ゴゼヨ。
活動期間が短く、ライブ盤1枚しか発売されなかったバンドながら、評価は非常に高く現在もファンに支持されているバンドだそうですよ。
めちゃくちゃ最近のバンドっぽい名前をしていながら、実は直木賞受賞作。
古川薫さんの小説です。
これがバンド名じゃないと見破るコツは、「漂泊」という漢字を使えるほどバンドマンは頭が良くないと感ずる事。
妄想銀行
僕自身が星新一の大ファンなので、単純に入れたかっただけではありますが。
よくよく考えたらあんまりバンドっぽくはない。
裸虫
今東光による小説。"裸体"はバンド。
みるきーうぇい
ここでやっと出てきた最近のバンドです。
クイズ大好きで頭のいい人は、「みるきーうぇいなんてバンドっぽいからクイズにするからには小説なんだろう」と深読みしてくださったかもしれませんが、残念、普通にバンド名でした。
キアズマ
近藤史恵による小説。
先程述べたコツを活用すればこれも余裕で正解できるはず。
「キアズマ」とは生物学の用語らしいのですが、こんなインテリジェンスに溢れる言葉を、ただ奇を衒いたいだけの薄っぺらい知識しかないバンドマンが知るはずないのです。
大阪で活動中のバンド。村上春樹の小説っぽい名前。
豚乙女
こうやって並べられると猟奇小説のタイトルでありそうな名前ですが、実はavexからメジャーデビューしている実力派。
東方Projectのアレンジ楽曲、コミケでの出品などサブカル方面の活動中心にやってきたバンドだからなのか、普通のバンド好きへの認知がほぼゼロなのがもったいない。
小さいおうち
中島京子による小説。恐らく今回の小説の中では一番有名だと思います。知ってる人もいたのでは。
逆に知らない人にはバンド名にしか聴こえない不思議な名前。
さて、皆さんは何問正解できたでしょうか?
実はこの記事を出す前に、バンドマンの友達に同じ問題を出したところ、
全員5つ以上は正解できたので、6つ以上正解できたらかなりセンスありです。
全部知っていた、という猛者はまず居ないと思いますが、もし居ましたらご一報待ってます。
最後に、この「ドキドキ」シリーズは何回か開催する予定ですので、
クイズ好きの方はご一読よろしくお願いします。
今年、台風来すぎじゃね?台風ソングについて
どうも、落第です。
突然ですが、作詞作曲の経験がある方に質問!
”台風”をテーマに曲を作ったことがありますか?
今年は災害が次から次に起こって、色々と疲弊してしまった人もいるのではないでしょうか。
そんな時こそ歌にするのが善という物。そう教えられてきました。
歌のテーマが飽和してしまっている今、新たな視点からのリリックは非常に重宝される時代。文章に目新しさがあるのでSNSで拡散される。
Youtubeで右端に縦書きで歌詞を表示したMVをアップすれば再生数40万は固い。
そして念願のメジャーデビュー。
次のリード曲を作るも、悉くファンの期待を下回る。
メンバーとのすれ違い。解散。
どうでしょう。新たな視点で歌詞を書いてみるだけでこんなシンデレラストーリーが待っている。最高かよ。
という訳で今回は、この記事を読んでいるあなたがいつメジャーデビューしても大丈夫なように、台風に関する曲をいくつか紹介していきましょう。
1. くるり / 台風
https://itunes.apple.com/jp/album/%E5%8F%B0%E9%A2%A8/373521052?i=373521270
いきなりマニアックな曲を紹介する。ワイルドすぎる。
そもそも「台風」って曲があること自体知らない人もいるのではないでしょうか。僕のiTunesライブラリには3曲入ってました(→Pia-no-jaC←、くるり、環ROY)
この曲はくるりの4thシングル「街」のカップリング曲なんですが、A面の街よりもポップで好きな曲です。というか街がクセの強すぎる曲だからポップに聴こえるだけなのか。
ただ肝心の歌詞に関しては、テーマはよくある感じの恋の話なんですよね。
恐らく幼少期に過ごしていた街で、青春時代には恋人と過ごした時代があって、それを回想しているという構成。
台風の空は何故か心地良かった
忘れないさ風の丘で赤い恋に手を振る
幼い頃って特に多くの人が感じてたと思うのだけれど、台風ってなんかワクワクするし、ちょっと外に出てビュンビュン吹く風にあたると、案外心地良かったりする感覚、あの感じを歌詞にしている歌ってほとんどないですよね。
岸田繁の歌詞は時期によって変遷が激しいですが、こういう庶民的な感覚に沿った歌詞を書かせると本当に天才だと思いますね。
くるりのカップリング曲は、2010年に「僕の住んでいた街」という2枚組のアルバムにほぼ全曲収められています。
個人的にはオリジナルアルバム聴くより聴きやすいと思うぐらい、意外と良曲多いのでお勧めです。「すけべな女の子」は本当に名曲。
毎度思うんですが、アルバムタイトルがわかりにくいですよね。カップリングコレクションとか付けてくれ。
2. キリンジ / 台風一過
https://itunes.apple.com/jp/album/%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E4%B8%80%E9%81%8E/387861104?i=387861269
台風が去ったあと、ツイッターでは毎回「台風一過」というワードがトレンド入りしますよね。
キリンジは意外と僕の周りでは好きな人もいて、2013年までのいわゆる”兄弟キリンジ”は、後発のミュージシャンにも多大なる影響を与えました。
この曲は、そんな兄弟キリンジの最後の方の一曲。
聴いていただければ分かる通り、キリンジの中ではちょっと異色な曲なんですよね。
今思えば、弟・泰行の脱退後メンバーを5人追加した後の”KIRINJI”の作風に近いのかな。実際、6人体制で初めてのツアーでも披露されていました。
このBUOYANCYというアルバム自体が水をテーマに作られたアルバム(BUOYANCYは浮力という意味)で、全体的にハイファイなサウンドと開放的なサウンドスケープが特徴的な作品。
そんな中でも歌詞はやっぱり”節”健在といった感じ。
瓦が落ちてきて車の窓を割った
電線はちぎれてデタラメのダイアグラム
放課後の窓から吹きこぼれるハーモニー
この曲の作詞作曲は兄・高樹。後期キリンジはパッと見どっちの作詞か分からない。キリンジあるある~♪
先日の台風21号の後がまさにこんな感じでしたよね。変わり果てた街の中で人々は慌ただしく業務を再開している感じ。
あと時期設定も夏の暑い描写を細かく突いていて、流石。若者よ、キリンジに学ぶべきはこういう所だぞ。
余談ですが、私はキリンジで台風といえば、この曲よりも「雨は毛布のように」が思い浮かびます。
3. レミオロメン/ 電話
一応この記事を書き始める前に、この台風ソングまとめ記事的な物が既出かどうか検索してみたら、何個かあったんですが、この曲について言及している記事が全くなかったので、この記事を作りました。僕の中では「台風ソングといえばコレ!」と言ってもいいぐらい大事な曲なのです。
この曲はレミオロメンのメジャーデビュー曲で、何年後かに爆発的ヒットを生むベストアルバム「レミオベスト」にも収録されたので、知っている人は多いんじゃないでしょうか。
私もレミオロメンは世代ドンピシャで、当時レミオベストも持っていました。クラスの友達も何人か持っていました。
当時私が、テレ朝のMUSIC STATIONという音楽番組にゲロ嵌りしていた時、「メジャーデビュー曲特集」みたいなスペシャル番組があって、その中でこの曲が一瞬流れたんですね。
その時からこの曲が聞きたくてしょうがなくて、当時レミオベストはこの「電話」が聞きたくて買ってもらった覚えがあります。
この曲の何がすごいって、イントロ。イントロにすべてが集約されている。
コード進行的には、Emaj7→ Em6というループ。このEm6という和音が、このイントロ独特の不穏な感じを引き出すコード感で、ポップスではほとんど使われないコードなんですね(Em6に限らず、6thや13thを重ねる和音全般に言える)。
実際このループも弾き方によっちゃホラーBGMに使えそうなぐらい不気味。
Wikipediaを見ると、この曲からプロデューサーに小林武史が携わっていたそうで、このイントロもコバタケの手腕による物なのか、原曲のアレンジによる物なのか。分からないが、いずれにせよ名曲。
(ちなみに、小林武史さんは、Mr.Children、YEN TOWN BAND等のサウンドアレンジ等を手掛けるプロデューサー。ミスチルのプロデュースをして一気に名前が売れ、その後レミオロメンやlego big morlなど若手バンドのプロデュースを手掛けた人物。大袈裟すぎるストリングスや大衆性を意識しまくったアレンジを施した結果、様々なロックバンドを犠牲にしてきた。)
話が長くなったが、ようやく歌詞に触れていきます。
曲のテーマは、「遠距離恋愛の男女」。分かりやすい。
歌いだしからも分かるように、夏の暑い日に彼女の事を心配する彼氏の歌。何とも切ない。
肝心の台風に関する描写ですが、2コーラス目から始まります。
空梅雨の割には早い台風
そっちもそうだろ? 嫌な天気さ
ちょっぴり寂しくもなるね
風強く 窓が揺れる 受話器でつながって寝るまで話そうよ
このフレーズだけでもノーベル文学賞とれる。とれない。
遠距離恋愛って、まあ遠距離だとはいえ恋は成就しているわけで、幸せな感情もある程度あるはずなのに、この曲、暗すぎやしませんか。
この曲では、若さゆえの「この遠距離ずっと続けられるの...?」的な漠然とした不安みたいなのがサウンドによって表現されていて、歌詞が明るくタフなだけに余計切ない。
言っちゃ悪いけど、このカップル、多分この後別れる。
3. 松任谷由実 / TYPHOON
https://itunes.apple.com/jp/album/typhoon/1436012984?i=1436012996
先日、iTunesやapple musicを始めとする主要音楽配信サービスでの配信が解禁され、話題を呼んでいるユーミン。
私も恥ずかしながらアルバムを持っていなかったので、これは本当に嬉しかった。
ただ424曲は多いっすよ。まあ聞くけども。
さて、この曲は1983年に発表されたアルバム「VOYAGER」に収録されている楽曲です。
実はさっきのレミオロメンの電話と対象的な描写になっていて、個人的には合わせて紹介したかった曲です。
歌詞を見ていきましょう。
風の音で目覚めた夜明けは薄明り
あなたの肩にかけるシーツ
そっと腕をのばしてラジオをつけましょうか
もうそこまで来たタイフーン
場面は正に台風の朝。そして主人公は女性で、恋人と同棲していますね。このこの!
まあユーミンの歌詞は何となくフィクションっぽくは書いているから多分実話ではないですよね。正隆どうなんだ。
あなたがお茶を飲んでさよならを云う頃は
この部屋もひどい雨の中
ちっぽけな町じゅうが止まってしまえばいい
今日はどこへも行かせないわ
メンヘラにしか見えない。
やっぱり台風といえば、「どこにも行けない」という事実があって、さっきのレミオロメンもユーミンも、共通して描かれているのはその身動きのとれないという構図。
それが離れている恋人、同じ部屋にいる恋人という明確な違いがあって面白いですよね。
外は台風の中、恋人を独り占めしている幸福感に浸る女性の歌。
ただやっぱり、ユーミンの歌どれもに共通することではありますが、なんか幸せそうじゃない感じ、無表情なんですよね。この女性。なんとも言えない温度感の曲。
このVOYAGERというアルバムは、ファンの間でもべらぼうに評価が高い傑作ですので是非聴いてみてほしいです。
さて、最後にはなりますが、僕が知る中で最も人々の心情をリアルに描いた、台風ソングの最高傑作を紹介して終わりにしたいと思います。
「おいマジか、夕方から台風来るやん!
頼む、電車動いてくれ!家帰らせてくれ!(切実)」