諂諛

音楽好きによる音楽好きの為の雑記。

しりとり名曲紹介 No.9 [よい朝を、いとしいひと / plenty]

最近めっきり寒くなって、この文章を打ち込む手も冷えきっています。

 

ちょうどこの時期、今住んでいる家に引っ越したのですが、ガスの設備が弱くてシャワーを浴びていると定期的に真水が10秒ぐらい流れます。

 

 

皆様くれぐれも風邪には気を付けてくださいね。 

 

クシュン。

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

 

よい朝を、いとしいひと / plenty

 

 

 

 

2004年に茨城県にて前身バンド結成、2008年にインディーズデビューしたのち、2017年に解散。

 

メジャーレーベルに行かず、最後までインディーズでの活動だったにも関わらず未だ若い世代を中心に絶大な人気を誇るスリーピース(たまにツーピース)バンドです。

 

読者の皆様にも好きな方は多いのではないでしょうか。

 

筆者はこのバンドの初期からのファンで、ラストツアー「拝啓。皆さま」高松公演を観に行きました。

ってか、解散驚いたよね。今更だけど。

 

 

かと言ってただ解散を惜しむような記事は書きたくないので、いつも通り曲の魅力とplentyのすごさについてぶつぶつ語りたいと思います。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

音楽性の変化

 

 

もともとplentyといえば、「ボクのために歌う吟」や「東京」に代表されるように、10代後半辺りの大人にも子供にもなれない微妙な時期の不安や怒りを、繊細で少年のような江沼くんの美声で歌いあげる事によって、世のネクラ中高生たちに爆発的な共感を生んだ、いわば陰キャ界のキリストのような存在でした。

 

 

そしてドラムの吉岡さんの脱退、1stフルアルバム「plenty」発売があり、その後の曲にも少しずつ変化が出てきます。

2nd フルアルバム「this」からはストリングスや民族楽器などのサウンドを取り入れて、楽曲も以前のシンプルなギターロックから遠ざかっていきます。

 

そしてplenty最大の転機、新ドラムス中村一太さんの加入。

あの伝説のバンドthe cabsのドラマー、あの神が招かれたのだ。

 

それからのplentyは、純粋に音楽を作るのを楽しむように、アンサンブル特化型の骨太な楽曲がどんどん生まれていきます。

 

そんな中シングルで発売された、この曲。「よい朝を、いとしいひと」。

改めて聴くと、本当に変な曲。本人もよく言っていますが、今までのplentyどころかロックバンドの中でもこんな曲聴いたことないです。こんな曲できるの井上陽水ぐらいじゃないでしょうか。

 

ただ、当時聴いた時から僕を含め友達のplenty好きの間でも「今回のplentyの新曲ヤバない?」と話題にあがるぐらい好きな曲でした。

実際この曲から戻ってきたっていう初期のファンも少なくないんではないですかね。

 

 

ドラムがすげぇ

 

 

この曲の肝は何といってもドラム。神がついに本気を出したかと。当時の僕は喜んだよ。

こんなリズムの取りづらい曲に、まずドラムフレーズを付けるのすら困難なレベルなのに、キャッチーさが上回っちゃってる。ドラムの方が耳に残る。

 

これですよ。the cabsの後ろで給食をずっと食べてる子供みたいな顔でずっとドラム叩いてただけの事はある。

 

 

かと言って楽曲がキャッチーじゃないかというとそうではなくて、メロディーがちゃんとAメロからサビまで作りこまれています。

何ならこの曲、歌メロはもちろんイントロのギターも、ベースもピアノも全部がキャッチー。それぞれ拍の取り方も違うのに綺麗に噛みあっているんですよね。

個人的には邦楽の中でもかなり「器用な曲」として上位に入るんじゃないかと思うレベル。

 

あと、歌詞もこの辺りから変化していった気がしていて、この後に出たアルバム「いのちのかたち」以降の楽曲では、ほぼ暗い歌詞が歌われていないんですね。

 

これが数年前まで「怖くてぇ怖くてさぁぁぁぁぁ」と歌っていた人と同じ人なんですね。

人って変わるものなんですよ。

 

 

***

 

 

plentyは解散してしまいましたが、現在はボーカル江沼さんのソロ活動も始まっています。

バンド自身が曲の方向性を変えていったのと同じで、バンドという形が変わっても江沼さんの表現である事にはずっと変わりないはずなので、解散を嘆くよりも今は新しい活動に期待するのみでしょうね。

 

 

今回はこの辺で。次回は「と」から始まる名曲を紹介していきます。

 

f:id:Rakudai:20190125231557j:plain