しりとり名曲紹介 No.19 [空中レジスター / the pillows]
今日もYouTubeとテレビを同時に見ている皆さんこんばんは。
このブログの記事も結構溜まってきて、まとめ読みするにも楽しいぐらいにはなったでしょうか。
ところで、最初の頃は毎週水曜日更新を目指していましたが、諸事情により毎週金曜日更新がメインになっていくかと思います。これからも趣味を生きがいに下積みを頑張ります。夢見るおちょぼ口。
概要
・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。
・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。
・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。
(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。
空中レジスター / the pillows
空中レジスター 【the pillows】 - ニコニコ動画
時は平成元年であります1989年に結成、1991年にメジャーデビュー。今年結成30周年を迎えられた大ベテランロックバンド、フリクリおじさんことthe pillows。皆さんご存知でしょうか。
Mr.Children、LUNA SEA、フラワーカンパニーズなど、四半世紀に渡って活躍するバンドが多数結成された89年組。ちなみに芸人だと雨上がり決死隊や千原兄弟などが同期だそうですよ。
ピロウズといえば日本のバンドの中でもかなりの多作でありまして、これまでに22枚のオリジナルアルバムと38枚のシングルをリリース、バンドとしての総楽曲数は約330曲。すぎょい。
そのほとんど全楽曲の作詞作曲はボーカル山中さわおさんが担当しています。
さわおさんはピロウズ以外にもTHE PREDATORSという別バンドやソロ活動もしており、それらの楽曲を含めると実に400曲近い楽曲をリリースしています。恐ろしや。
そして、そんな約330曲の楽曲をすべて持っているぐらい、筆者はthe pillowsが大好きです。サンキューバスターズ!
不変の普遍
空中レジスターは、2005年にリリースされたアルバム「MY FOOT」に収録された楽曲。ちなみにこのアルバムはピロウズの中でも1番好きなアルバムで、初めて聴くには最適な1枚だと思うので興味のある方は是非とも聴いてみてください。本当にFunny Bunnyだけじゃないんですピロウズは。
そして本題のこの曲なんですが、びっくりするぐらいシンプル。過去にこのブログで紹介した曲に多く見られた複雑な展開だったりコードワークだったり演奏技術だったりは、この曲にはほぼありません。
冒頭からいっせーので全員同時に楽器が鳴りだし、楽曲の構成もAメロ主導のシンプルな展開で、ビートルズとか昔の洋楽っぽい曲構成。
ピロウズの音楽的ルーツには、ピクシーズやニルヴァーナなどのオルタナティブロックの影響が濃いこともあり、楽曲の構成や演奏はシンプルな楽曲が多いのも特徴の一つであります。
これだけシンプルに細かい要素を削って、メロディー、歌詞、リフだけの要素でどえらいカッコいい楽曲に仕上げる技を、ピロウズは実に30年以上ずっと変わらずやり続けているのです。
決めつけた言い方をするなら、素人には真似できない。後輩バンドがピロウズの音楽性をリスペクトしようとすると完全にピロウズになってしまう。僕はこれをバスター菌と呼んでいます。
年をとるにつれて、発泡酒が美味しくなったりコーヒーは基本ブラックになるけれど、結局コアラのマーチが一番美味いし、それを忘れる事はないんです。僕にとってそれがピロウズなんです。
比喩の天才
ピロウズの歌詞は名作がとりわけ多いのですが、この曲の歌詞はピロウズの中でもかなり完成度が高いと思います。2分半というコンパクトな時間の中に、ピロウズの世界観とニヒルな切り口が無駄なく詰め込まれていて、誰が読んでも一目で分かるインテリジェントな面と、歌として口ずさんでも心地良いリズム感がある作品です。
代表曲を知ってる方は分かると思いますが、山中さわおの書く歌詞の中には比喩表現や寓話的表現が多く見られます。王様とか神様とか、空想めいたワードが頻出単語なので皆さん覚えておきましょう。
この曲の歌詞の冒頭からもいきなり「鳥になって」という上級者レベルのファンシーな比喩が飛び出すわけですが、もう最後までずっとファンシーな世界観、かと思いきや
「汚れた空気も吸うしかなかった」
という1フレーズで、グッと現実に引き戻される感じがしますよね。僕はここの歌詞を聴いてめちゃくちゃ感動したのを覚えています。
山中さわおさんの作る曲は基本的に誰かへ向けたメッセージソングではなく、さわおさん自身の視点で見た世界や体験を、主観的な視点で書いた歌が多いんですね。
空中レジスターのようなハチャメチャな肯定ソングも、初期の名曲ストレンジカメレオンのような狂気じみた内向ソングも、誰に向けるでもないさわおさん自身の物語をフィクションめかせて歌っていることで、一見ポップな語感に聴こえるけれど中身は生々しいさわおメソッドの完成という訳です。
これだけセオリーに基づいていながら、曲として聴くと本当にシンプルにメロディーの邪魔をせず歌詞として成立しているのがすごいところ。言葉選びが本当に的確で丁寧なんですよね。
ちなみに歌詞がうまくハマらない時は「アウイェー」を連呼するさわおメソッドもありますので興味のある方は深く掘り下げてみてはいかがでしょうか。
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今回はここまで。次回は「た」から始まる名曲を紹介します。サンキューバスターズ!