諂諛

音楽好きによる音楽好きの為の雑記。

【ロビンソン、深夜高速etc...】歌詞にタイトルが出てこない名曲を集めてみた【Apple Musicプレイリスト共有企画】

 

皆さんごきげんよう。ここ数日はずっと暇で、音楽しか趣味の無い私は只管好きな音楽や未開拓の音楽を探ったりと、ある意味有意義な日々を送っています。

前回の「#うちで踊ろう」の記事に引き続き、あるテーマに沿った曲を紹介していく記事がいくつかできたので、そこそこのペースで更新していこうと思います。

 

 

さてこそ、今回のテーマが「歌詞にタイトルが出てこない名曲」なんですが、まず何故こんなマニアックなテーマで曲を集めてみようと思ったのかと言いますと、

 

 

実はこのテーマって、音楽好きの間ではしばしば槍玉に上がる話題なんですね。

 

 

ネット上でも、2chやYahoo知恵袋でこのテーマについて議論している記事がいくつかあったり、

あの人気番組「水曜日のダウンタウン」内で「ZARD 曲のタイトル絶対サビに持ってくる説」という説を検証し、今回のテーマも番外編的に触れられた事もあります。

 

 

という訳で今回はこのテーマを掘り下げていきたいと思いまっす。

 

 

 

それって何が凄いの?

 

 

何が凄いんですかね。

 

これに関しては作詞を経験した人間なら分かってもらえると思うんですけど、これ実はかなり高度な技術なんですね。

 

単純に、「ありがとう」という曲名で歌詞を書くとして、「ありがとう」という単語を入れずに書ききるのってめちゃくちゃ難しい気がするじゃないですか。シンプルに言えばそういう話。

 

もう少し踏み込んだ話をすると、”曲のタイトルがどういう役割を果たすか”という観点で見れば分かってくるかと。

 

 

「そして輝くultra soul」ハァァイ!! (B'z / ultra soul)

 

 

これ、曲名が「ultra soul」だからこそ成立するオチというか、この「ウルトラソウル」という言葉が曲のピークを担う部分に入る事で、聴き手に圧倒的なインパクトを与える役割を果たしています。

 

つまり、曲のタイトル=その曲で印象的な場面を作るのに非常に重要な言葉なんですね。

J-POP或いは歌謡曲の文化において”サビ”の重要度は非常に高く、サビの短い時間にいかに印象的なフレーズを入れられるかが大事な訳です。

 

じゃあ、歌詞にタイトルが出てこない曲の方が劣ってるんじゃないの?と思われたそこのあなた、青いです。若い!喝!

 

 

そんなキャッチーな場面やフレーズを取り入れずして、大衆の耳に残る名曲を生み出す天才たちが日本には溢れてるんです。

 

 

今回はなるべく、そのアーティストの代表曲やヒット曲に絞ってプレイリストにまとめてみましたが、かなり濃いプレイリストになったのでざっくり丁寧に紹介したいと思います。

 

 

 

歌詞にタイトルが出てこない名曲プレイリスト

 

 

music.apple.com

 

 

[曲目リスト]

 

1. ロビンソン / スピッツ

2. 有心論 / RADWIMPS

3. 丸の内サディスティック / 椎名林檎

4. Pretender / Official髭男dism

5. 若者のすべて / フジファブリック

6. 高嶺の花子さん / back number

7. ガストロンジャー / エレファントカシマシ

8. 勝手にシンドバッド / サザンオールスターズ

9. 恋の煙 / チャットモンチー

10. スロウ / GRAPEVINE

11. ミュージック / サカナクション

12. 虹 / L'arc~en~ciel

13. 奇跡 / くるり

14. アシンメトリー / スガシカオ

15. イージュー★ライダー / 奥田民生

16. Drifter / キリンジ

17. セブンスター / 中村一義

18. ソラニン / ASIAN KUNG-FU GENERATION

19. Funny Bunny / the pillows

20. 深夜高速 / フラワーカンパニーズ

 

 

 

ざっくり解説

 

1. ロビンソン / スピッツ

曲名は草野マサムネがタイを旅行した際に訪れた「ロビンソン百貨店」という店の名前から。このテーマで語る上で代表曲に挙げられる事が多い気がします。

こういう、歌詞と全く関係ないタイトルも邦楽には存在するんですが、どう考えても他のタイトルではしっくりこないほど浸透してしまったという奇跡のような1曲。

 

3. 丸の内サディスティック / 椎名林檎

二つ以上の単語を組み合わせた造語パターン。このパターンだとどちらかの単語は歌詞に入りがちなんですが、「丸の内」も「サディスティック」も掠りもしないという徹底ぶり。

椎名林檎はこの曲の他にも「ギブス」「本能」など、歌詞にタイトルが出てこないヒット曲を数多く出しています。このテーマにおいて最強クラスな気がします。

 

4. Pretender / Official髭男dism

タイトルは「何かのふりをする人」「偽装者」という意味。

音楽好きからすればPretenderといえばFoo Fightersだったところですが、イケイケのJKとかが「Pretenderめっちゃいい~」みたいな言ってるのが興奮しますよね。

 

 

8. 勝手にシンドバッド / サザンオールスターズ

当時ヒットしていた沢田研二の「勝手にしやがれ」と、ピンク・レディーの「渚のシンドバッド」をくっつけた造語。

前述の「水曜日のダウンタウン」内では、ロビンソンと共にこの曲も歌詞にタイトルが出てこない曲として紹介されました。

 

12. 虹 / L'arc~en~ciel

これもラルクファンの間ではこのテーマで触れられる事が多い曲。

くるりの奇跡も同様、シンプルな単語なのに歌詞に一切登場しないパターンは非常に珍しいと思います。

福山雅治の「HELLO」やplentyの「東京」も同様。

 

15. イージュー★ライダー / 奥田民生

音楽用語で「30」を意味する"イージュー(E10)"と、バイクを題材にしたアメリカの映画『イージー・ライダー』を掛け合わせたもの。

意味を知っていれば一気に奥深さを増す、とても良いタイトル。

 

20. 深夜高速 / フラワーカンパニーズ

個人的に、このテーマで真っ先に思い浮かぶ曲がこれ。

何が凄いって、この歌詞なら絶対「生きててよかった」というタイトルを付けるのが普通だと思うんです。

曲の主題ではなく、ある意味舞台背景とも言える「深夜高速」という言葉を付け加える事によって完成する世界観。非常に詩的かつ印象的なタイトル。

いや、やっぱすげぇっすねこの曲。

 

 

 

まだまだ紹介したい!!

 

もうね、日本のアーティストって凄すぎるんですよ。まだまだ紹介しきれない楽曲が沢山ある!

とはいえ厳選して20曲に収めるのも仕事。この選曲に悔いはありません。

というわけで、プレイリストに入れたかったものの、サブスク未配信という理由で惜しくも入れられなかった名曲を3曲だけ紹介します。

 

 

 

B'z / LOVE PHANTOM

 

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このテーマにおいては最弱の音楽レーベル、ビーイング社の数少ない生き残り楽曲。

なんてったって前述のZARD 曲のタイトル絶対サビに持ってくる説」ZARDビーイングですからね。

何ならB'zもさっき言及してたし、この曲も冒頭のセリフみたいなところで「ラブ ファントム...」って言って歌い出すので実質グレーゾーンなんですよね。

とはいえこの曲もこのテーマで語られる事が多いので紹介しておきます。ビーイングはいい加減サブスクに肯定的になってください。

 

 

the band apart / Eric.W

 

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これこそ歌詞と全く関係ないタイトル選手権優勝ソング。

タイトルはケニアのマラソン選手エリック・ワイナイナ氏から取られたのですが、何故エリックワイナイナがタイトルになったかは明らかになっていない。

曲名もさることながら、MVもよく分からないチープな映像。曲がカッコよくなかったら絶対売れてない。流石です。

 

 

 

My Hair is Bad / 戦争を知らない大人たち

 

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タイトルは1970年に発表された楽曲「戦争を知らない子供たち」が元ネタと思われます。翌年にジローズというフォークバンドが歌唱しレコード化されたものが有名。

My Hair is Badはこの他にも「告白」「音楽家になりたくて」等、タイトルが歌詞に出てこない曲が多数あります。

 

実に皮肉めいたタイトルですが、歌詞の内容が大人を批判する内容では全くなく、至ってパーソナルな事象を綴っている歌詞なのがこの曲の凄いところ。

恐らく「戦争を知らない子供たち」の歌詞で批判されていた子供たちが大人になっただけでなく、自分もその大人の仲間入りをしてしまった事への自虐も込めたタイトルなのかなと推測しています。

 

近年のギターロックバンドの中でも、歌詞が抜群に良いバンドだと改めて感じました。個人的には「いつか結婚しても」みたいな曲なんかよりずっと聴かれて欲しい名曲だと思います。

 

 

 

 

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一見すればたまたまタイトルが出てこなかっただけの様にも思えるんですが、並べてみると意外と共通性はある気がしていて、どのアーティストも歌詞に対する評価が高かったり、文学的な表現を用いる歌詞が多いですよね。

単にサビの頭の繰り返すフレーズを付けるよりも、詩的で奥深い印象を楽曲に与える事ができる気がしますね。

自作の楽曲をもっと奥深いものにしたい方は、このプレイリストの中の曲を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

music.apple.com