諂諛

音楽好きによる音楽好きの為の雑記。

しりとり名曲紹介 No.21 [読書 feat.星野源 / 宮内優里]

 

暑くなってまいりましたね。もうすぐ世間は夏休みだフェスだビーチだ大忙しですが、果たしてブログなんて書いてていいんでしょうか。

まあフェスは行くんですけどね。サマソニ盛り上がっていこうぜ。

 

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

読書 feat.星野源 / 宮内優里

 

 

1983年生まれ、映画やCMへの楽曲提供の傍ら2006年にアルバム「parcage」をリリース。

生演奏と多重録音を駆使したサウンドが音楽関係者の間で支持され、2011年にリリースされたアルバム「ワーキングホリデー」では、YMO高橋幸宏原田知世といった面々とのコラボ楽曲を多数収録し話題となりました。

 

そのアルバムの中でもやっぱり一際目立った楽曲が、この「読書 feat.星野源」でございます。星野源ですから。目立たざるを得ないですよね。

2011年というと、星野源のファーストソロアルバム「ばかのうた」の翌年という事で、世間ではまだまだ認知される前の作品ではありますが、今では知らない人はいない程の国民的アーティストになられてしまわれました。

 

この「読書」という曲は、そんなお源さんの歌声が、とてつもなく良い相乗効果を産み出している楽曲だと思います。これを知った皆さんは、これからこの曲を聴かずにファンを自称してる女は全員見下していただいて結構です。

 

 

 

耳が喜ぶ音作り

 

そもそも、宮内優里さんの作る音楽はエレクトロニカと呼ばれるジャンルに分類されることが多いですが、宮内さんがやっている事は簡単に言うと、エレクトロニカと生演奏の融合みたいなもの。

打ち込みやサンプリングで地盤となるトラックを作っておいて、メインのフレーズや和音はギターや鉄琴などの楽器をそれに合わせて演奏する事によって楽曲を作っています。

 

イヤホンで聴くと分かると思いますが、中盤辺りから細かい音が左から右からカタカタ聴こえてきますよね。これがエレクトロニカではよく用いられる手法。クリックとかグリッチと呼ばれる電子音特有のノイズみたいな音。

 

僕は恐らく長年の音楽漬け生活の末、耳にある程度の刺激を感じる音でないと興奮できない体に魔改造されてしまったので、こういうグリッチ音やノイズが非常に気持ちいいと感じるのですが、普通に聴いている方は別に気に留める必要はありません。黙って星野の声だけ聴いていてください。

 

そんなエレクトロニカの音作りに、心地良いアコースティックギターが加わる事によって、何とも心地良い宮内サウンドが完成するのです。

エレクトロニカにありがちな、閉鎖的な雰囲気だったり冗長な感じが宮内さんの楽曲には全く無くて、基本的に明るい開放的なコード感で短い楽曲が多いのも魅力。音楽通を決め込みたい男子諸君は是非ともドライブなんかでかけちゃってくれよな。

 

 

さらにライブでは多重録音を用いて、生でトラックの上にアコースティックギターや効果音を一つずつ重ねていってその場で楽曲を作っていく即興スタイル(YouTubeにもライブ映像があるのでこちらも見て頂きたい)。実際ライブを見ているとかなり生音感があって、音源と違った響きにもなります。

電子音だけでも生音だけでも出せない、絶妙な温度感が宮内優里さんの楽曲の特徴でもあります。

 

 

やっぱり源くんは天才でした

 

なんだろう。悔しいな。

 

この曲の作曲はもちろん宮内さんなのですが、作詞は星野源なんですね。

この記事を書くにあたって改めて曲を聴いていたのですが、もちろんメロディー、音は満点。ただよく考えたらこの歌詞すげぇぞと。

 

まさに小説のような文体や比喩がこれでもかと多用されたインテリジェンス溢れる言葉遣いに、まさに絵本のようなファンタジックで幻想的な世界観。

本を読みながら寝落ちした次の朝というコンセプトが、音像ともベストマッチしていてこれ以上ない完璧なシチュエーションを描いて見せやがる。

 

1サビ前のBメロ「小さな不安と 喜び今日もおはよう」なんて星野源史上一番エモい表現なんじゃないですか?元々小説や書き物が好きな方である事は有名ですが、ここまで手加減しないのは卑怯じゃないですか。

 

歌詞の題材としては斬新な「読書」というテーマを、ここまで音楽的に表現できるのは本当にすごい。勝ち目がない。

こんな名曲を知らない輩がファン名乗ってたらそりゃあ見下したくもなりますよ。

 

ただ、これを知ったあなたはもう堂々とファンを名乗っていきましょう。僕はそこまでファンじゃないです。ごめんなさい。宮野真守の方が好きです。

 

 

***

 

今回はここまで。次回は「よ」から始まる名曲を紹介します。

 

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