【2019年】今年聴いた音楽をざっくり振り返る part.3【7月~9月編】
早いものでpart.3、やっとこさ後半戦。頑張っていきまっしょい。
折坂悠太 / 朝顔
ジャズ、ヒップホップ、フォークなど多様なジャンルを織り交ぜた楽曲がミュージシャンからも多大な評価を受け、2018年にリリースされたアルバム「平成」が「CDショップ大賞2019」を受賞した超実力者、折坂悠太氏。
まさかの月9主題歌を担当することになり書き下ろしたのがこの曲なんですが、結論から言うと個人的2019年ナンバー1です。これは名曲。
極めて日本的というかJ-POP的なコード進行で比較的シンプルな曲ではあるけれど、序盤の緊張感から少しずつ熱を帯びて開放的になっていく展開は聴いていてめちゃくちゃ気持ちいいし、大ラスの展開にはもう120点つけるしか無いでしょうと。これは言葉で説明するのも野暮なので自分の耳で確かめてください。
孤高の存在だった折坂悠太というミュージシャンが、大衆に向けてある意味での喧嘩を売ったような、「音楽とは何ぞや」を提示してくれたような渾身の1曲だったと思います。ほんとすげぇよ。
リボン feat.桜井和寿 / 東京スカパラダイスオーケストラ
さっきの「朝顔」とほぼ同じ時期に出てた記憶がある。今年結成30年というビッグアニバーサリーイヤーを迎えたスカパラと、あの桜井和寿がまさかのコラボを実現させて生まれた楽曲。
正直なところ、もっと流行ると思ったんですよね、この曲。再生回数8桁は堅いだろうと。スカパラ側もその想定だったんじゃないかな。
まあそれはさておき良い曲ですよね。この溢れんばかりの多幸感と圧倒的なエネルギーを、かれこれ四半世紀以上バンドやってる50超えたおじさん達がどんな若手バンドよりもパワフルに発信しているんですから。何より音楽を楽しもうぜ!という気概を感じる曲だなと思います。
STUTS, BIM, RYO-Z / マジックアワー
稀代のトラックメーカーSTUTS氏が作曲、それにBIMと元RIP SLYMEのRYO-Zが参加したという肩書だけでも強力すぎる1曲。
自分はヒップホップにめちゃくちゃ詳しい訳ではないのであまり専門的な観点では語れないのですが、単純に懐かしさをすごく感じるので好きです。
20年くらい前に流行った所謂メロウと呼ばれるトラックもそうだし、それぞれのバースの中にRIP SLYMEの過去のヒット曲のフレーズが散りばめられている所もあって。お洒落ではあるんだけど限りなく日本的で情緒がたっぷりな、田舎のスナックのママみたいな雰囲気の曲。伝われ。
こういうトラックって最近無かったなと思わされたと同時に、過去のレジェント的存在だったRIP SLYMEの偉大さというか、あの温度感を思い出させてくれたような1曲でした。ほんと年をとるにつれてノスタルジーノスタルジー言うようになってて辛い。
パソコン音楽クラブ / reiji no machi
昨年からじわじわと頭角を現している2人組DTMユニット「パソコン音楽クラブ」による2nd album「Night Flow」よりリードトラック。
イントロから「あれ、これ2013年の曲か」と勘違いしそうな音色だなーと思ったけど、よく考えたらそんなに変わらんかった。
こういうアナログシンセっぽい音色をメインに使っているアーティストが、令和にも居ることが何より嬉しい。ほら出たノスタルジー。もうノスタルジーおじさんやんけ。
作曲編曲のレベルの高さとかについては今更語るべきでもないので省きますが、歌詞がどの曲も至って俗世間的というか人間らしい視点で書かれているのがすごく好きで、「パソコン音楽クラブ」というユニット名も込みでちょっと皮肉めいてるのが洒落てるなぁと思いました。そう思うとアナログシンセってやっぱ人間味を出すのにうってつけなんですよね。
中村佳穂 / LINDY
京都在住、昨年アルバム「AINOU」が音楽ヲタクから絶大な支持を得た天才シンガーソングライター、中村佳穂。
クセの強い歌い回しと、難解なアレンジの応酬の様なアルバムAINOUの後、更にクセが強くなって帰ってきました。5回目ぐらいまで「何だこれ!?」が続くほどの難解さ。この分からなさが最高に気持ちよくて癖になります。
今年の2月に彼女のライブを観に行ったのですが、間違いなく彼女の真髄はライブにあります。この難解な楽曲に更にアレンジやアドリブが加わり、1秒も気を抜けない素晴らしいパフォーマンスでした。
本当にどういった音楽遍歴を歩めばこういうセンスが身に付くんだろう。マジでピアノが彼女に操られてるみたいな鳴り方してるんですよ。化け物だよあの人。
connie / グリッター feat.小田朋美 (CRCK/LCKS)
新潟のローカルアイドルNegiccoというグループを初期からプロデュース、楽曲提供し続けている新潟在住サウンドプロデューサーconnie氏が単独名義で初めてリリースしたEP「VOICES」からのリード曲。
3分半とにかくジェットコースターのように駆け抜ける爆速シティポップ。僕は一聴して衝撃を受けました。気持ち良すぎて脳汁が天井に届きました。
リズムの取り方、音数、パン振り(音のLRの配置のこと)すべてが限りなく緻密で手が込んでいて、めちゃくちゃ壮大なピタゴラ装置を見ているような爽快感を感じました。もはや感動レベル。
正直インディーズのフィールドでここまで作り込む執念はもはや狂気ですよ。connieさんは変態なんです。ポップスへの偏愛に満ち溢れている。こんな音楽家になりたい。
リーガルリリー / ハナヒカリ
ご存知リーガルリリーのメジャー1stシングル。 映画「惡の華」主題歌。
まずメジャー1stシングル表題曲にしては暗すぎて心配になりますが、それを差し引いても差し引くものが何もないぐらい好きな曲です。
もう出だしのアルペジオの3音だけでも充分語り尽くせます。ここだけでその辺のギターロックバンドは粉です。粉。
散々お洒落がどうだノスタルジーがどうだ垂れてきたけど、結局は人を黙らせる事ができる曲は強いですよ。そういう曲を作れる人が評価されると思ってます。
歌い出しの張りつめた静寂の中「空は君よりもきれいだった」という一言目。こんなんカラオケで歌われたら盛り上がってたもんも一気に葬式の二次会ですよ。やるんじゃなかったと誰もが思うはず。
時代が時代だけに、こういう重たい曲の需要って減って来てると思います。それでもこの時代にこんなシリアスな曲を出したリーガルリリーはすごいし、何より本当にこういうのが好きなんだろうなと思いました。
久々に部屋で一人でしっかりと向き合って聴きたくなった1曲でした。あと個人的にこのシングルのジャケットがすごく好きでしたので、気になった方は調べてみてください。
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早いもので次でラスト。次回もお楽しみに。