諂諛

音楽好きによる音楽好きの為の雑記。

しりとり名曲紹介 No.5 [トラベルプランナー / ハヌマーン]

 

正直今回の記事は謎のプレッシャーを感じている。

 

ファンが多いだけに変にレベルの高い評論をしないといけない気がします。

なので、先に言っとくと今回もべた褒めして終わりです!Fxxk!!!

 

 

 

概要

 

・邦楽オタクの僕が、人生で特に影響を受けた楽曲、音楽ファンなら絶対に聴くべき往年の名曲、時代と共に完全に忘れられつつある超・隠れた名曲を紹介するコーナーです。

・その名の通り紹介する楽曲の名前を、しりとりで繋いでいくというマゾ縛りとなっています。

・基本的にアーティストの被りは無し、「ん」で終わる曲は1つ前の文字を繋いで続行します。

(例)にんじゃりばんばん → 「ば」から始まる曲を次回紹介。

 

 

 

 

トラベルプランナー / ハヌマーン

 

 

 

2004年結成、2012年に解散し、全国流通盤はフルアルバム1枚とミニアルバム2枚と非常に少ない活動ながら、音楽ファンから未だに評価され続けているハヌマーン

この楽曲は1stフルアルバムWorld’s System Kitchenに収録されています。

 

 

 

イントロからもう他人に弾かせる気の無いアルペジオのリフ。兄さんそれ32分音符入ってますって!

これを弾きながら歌うとか多分本人も無理でしょう。マジでスリーピースを終わらせようとしてる。

 

 

そして歌詞の冒頭から見ていくと、

 

アラーム音 固定パターン1に 感情まで支配される朝は

血でも魂でも 何でも売っ払って たった一秒でも長く眠りたい

 

 

前半に畳み掛けるな。

 

 

ラスサビの1フレーズ

明かりもテレビも点けたまんまで疲れて眠ってしまった

行けもしない旅行の計画を浮かべながら

 

こんなん一人でライブ帰りとかに聴いたら染みない訳がないでしょう。

 

 

邦楽においての歌詞の大きな要素に「共感できる」とか「感情移入できる」というポイントで評価されることが多いですが、ハヌマーンはまさに音楽ぐらいしか趣味の無いオタク層にバッチリ刺さる歌詞を作っていて、それが、音楽ファンから評価される理由になっています。

他の曲ももちろんどれも素晴らしい歌詞ばかりなんだけど、トラベルプランナーに関しては、「あぁー分かる分かる!」なんて生易しい感情じゃない、もうどっから俺のこと監視してたんですか!と唸りたくなる。

 

だから、やってる事はほぼ西野カナと同じだと思っています。

 

ターゲットが女子から音楽オタクに変わっただけで、僕らもまんまと「夜中に聴くハヌマーンは本当に染みる。。」とかツイッターで呟いてしまうのです。本当は聴いてもいないのに。

 

やっぱり音楽にのめりこむ人たちって、人生のどこかで正規のレールに乗り切れずに躓いてしまったような人たちの集まりなので、どこか「正しい人」への抵抗があったり嫉妬もあったりして、基本的には劣等感を抱いて生きているんですね。

 

山田亮一はそんな人間性を、もうこれでもかというほど上手に、器用な言葉の使いまわしで表現している。

だから僕らはそれに共感するし、ハヌマーンの音楽を肯定することによって、自分の存在を肯定できている錯覚に陥る。

ハヌマーンを語っている自分に酔えるのです。

 

 

さぁ今日は語りますよ。

 

 

 

邦楽ロック00年代の終焉

 

このアルバムが出たのが2009年なんですが、この時期の邦楽ロック界隈の流行が

・クールで無表情な佇まい

・高い演奏力、変則拍子の多用

・暗い歌詞

という、昨今の流行にはまったく無い要素ばかりだったのですが、本当に当時はこういうバンドが多かった。

 

ハヌマーンもまさにこれらの要素をすべて含んでいると思うのですが、さっきの三要素を△のグラフにして表すならば、ハヌマーンは全部が突き抜けていた。

 

めちゃくちゃ大袈裟に聞こえるかもしれないが、彼らはこの邦楽ロックの流行を終わらせたバンドなんじゃないかと思っていて。

 

例えば今の流行を見れば、全体的に明るい踊れるサウンド、シンガロングやハンドクラップなど観客と一体になるセクションの多用、意味よりも語感や語呂に重きを置いた歌詞などの要素がありますが、これらの要素を完璧に含んでいて、かつ今までにないぐらいのクオリティやスター性を持ったバンドが現れたとすると、もう後発のバンドはそのバンドに太刀打ちできずに他の方向性から攻めるしかなくなるんです。

 

2010年ごろのハヌマーンは、まさにそんな感じでした。事実それ以降で、演奏技術や難解さを売りにしたバンドはほとんど出てこなかった。強いていうならthe cabsぐらいかな。

2010年ごろ、その流行の流れを変えたのがSEKAI NO OWARI神聖かまってちゃん等だったはず。その頃からYouTubeと音楽の親和性がどんどん高まってきて、音楽における映像の比重もますます増えていった気がします。

 

ここから何年後かに、また違ったロックバンドの流行のサイクルが来て、もしかしたらまた難解さを競い合うような時代が来るやもしれませんが、どうせ僕みたいな卑屈なエセ音楽評論家が出てくるだけなんでもう来なくていいと思っています。

 

最近の若い子は知らないかもしれないけど、2010年とかその周辺のネットのアンチの数って本当にヤバかったんですよ。

人気のアーティストのamazonのレビューとかに100件とかの誹謗中傷コメントがあるのが当たり前だったんですよ。僕はしてないよ、そんな事。

 

 

 

***

 

 

最終的に時代懐古するだけのオッサンじゃないか!と揶揄されかねない内容になりましたが、僕は今の流行も悪くないと思っています。

普通にみんな当たり前のように演奏うまいし。なんでみんなあんなにイケメンなんですかね。

 

単純に00年代と比べて、「バンド音楽を聴く」という事への抵抗がめちゃくちゃ減っているのも事実。

そっから、例えば友達からとか、もしくはこの記事を見て、少し前の年代のロックバンドに興味を持ってもらえれば、これ以上の僥倖は無いと僕は思います。

 

 

 

長くなりましたが今回はこの辺で!次回は「ナ」から始まる名曲を紹介します。

 

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